眼瞼下垂? と思ったら
まず診察を
受けてください
※ 診察料 5,500円(自費)
診察は院長が行います。
※ 自費手術の一例: 自然な重瞼ラインを希望 ▶︎ 術前→術後18ヶ月 眉が下がり額のシワも減少し、おとなしめの重瞼ラインになりました
※ 保険手術の一例: 右のみの眼瞼下垂 ▶︎ 術前 → 術後7日(抜糸時)→ 術後5ヶ月 /手術していない左側 半年でほぼ左右対称になりました
眼瞼下垂の診察には時間がかかります。できるだけお早めにお越しください。午前中の方が比較的ゆったりと診察を受けていただけます。診療終了間際においでいただいた場合、検査や予約を当日にお受けできないことがあります。
保険適応可能であることをご説明し、一度ご自宅に戻って再検討した上での来院をお勧めしています。
再度診察においでいただき、簡単なご説明の後手術日のご相談に移ります。通常1ヶ月先程度のご予約になりますが、季節や状況によっては数ヶ月先まで予約が埋まっていることもあります。
手術日まで期間が空いている場合は、およそ手術日1ヶ月前までに再度受診していただき、その際に血液検査や同意書説明を行います。手術日を決めた時に予約料がかかります。
眼瞼下垂の症状はないが、瞼の運動に異常や障害が認められる場合、症状によって適切な専門施設をご案内し、必要であれば紹介状を書き、予約を取ります。
治療の流れは概ね保険の手術と同じですが、緊急性のないご希望による手術をなりますので、費用の概略を説明した上で一旦診察を終了し、ご自宅に戻って再検討した上での来院をお勧めしています。
手術までの治療の流れや費用については自費の手術のページを参照してください。
眼瞼下垂の診断法として、目薬を差したり、瞼におもりを貼付けたり、心理テストを行ったりする医療機関もありますが、大江橋クリニックでは原則的に臨床症状と瞼の動きをもとにして診断します。自覚症状も参考にしますが、ご本人の「眼瞼下垂です」という訴えのみで病名をつけることはありません。
最近は「私は眼瞼下垂です」とご自身で病名を決めてこられる方も多くなりましたが、他の医療施設で診断を受けている場合でも、参考にはしますが実際に診察の上総合的に判断させていただきます。(診断がつきにくい場合や、他の眼科的、神経内科的な病気が疑われる場合は、それぞれ専門の眼科医等をご紹介し、受診していただきます。)
最も大切と考えているのは、眼瞼挙筋の機能(下方視と上方視との動きの差)と前頭筋の機能(眉の動き)ですが、その他上下の瞼の形態や眼輪筋の動きなども参考にしますので、診察時には瞬きをしたり上や下を見たり強く目をつぶってぱっと開いたりというようないろいろな動きを何度もしていただきます。
また、物差しを当てて手術に必要な各部位の計測をさせていただきます。
形成外科においては眼瞼下垂をより広範な病態としてとらえ、一見瞼があまり下がっていなくても、このページに述べられているような症状が揃い、その原因が眼瞼挙筋の機能にあると診断できれば眼瞼下垂であると考えます。この場合、瞼が見た目であまり下がっていないのは、眼瞼挙筋の機能を周辺にあるその他の筋肉が肩代わりし「代償している」と考えるわけです。
代償されていれば視機能は一応保たれているのだから手術の必要がない、という考え方も成り立ちますが、この場合、眼瞼周辺の筋肉の緊張が高まり、その結果として疲労感、肩こり、頭痛、抑うつ感などが出現し、患者さん本人は非常に辛い思いをします。手術によってそれらの症状が改善するのならば、手術する意味があると考えられます。
そこで、「代償期」であっても、眼瞼下垂症手術の「相対的適応」と考え手術を行なうべきだというのが、形成外科における眼瞼下垂の一般的な考え方です。
眼瞼下垂とは文字通り「瞼が下がってくる」状態を指しますが、その病態は様々で、手術適応に関してもいろいろな考え方があります。
厳密には、瞼を吊り上げる「眼瞼挙筋」の機能が損なわれているかうまく伝わらないために、上眼瞼が角膜(黒目)の上に被さって視野が遮られる状態を指します。
しかし、それほど瞼が下がっていなくても眼瞼下垂症手術の「相対的適応」と診断されれば手術を行なうべきだと考えています。
もちろんこれには異論もあり、適応をより厳密に重症の眼瞼下垂のみに限り、軽症に健康保険を適用するのは違法であるとまで断言する眼科医も存在します。(眼科において眼瞼下垂の手術を扱う「眼形成外科学会」の医師などはこの立場を取っているようです。)診察した医師により判断が異なることがあっても医師の裁量権の問題であり、どちらが正しいというものでもありません。
これは
代償期であっても詳細な診察によって隠れた眼瞼下垂症の客観的症状は明らかになります。肩こりなどの患者さんの主観に基づく訴えだけで診断することはありません。詳しくは下記を参照してください。
眼瞼下垂とは文字通り「瞼が下がってくる」状態を指しますが、一般的に眼科では瞳孔が遮られる事によって「視機能が損なわれる」ことをもっとも重視するため、角膜中央部に瞼がどの程度被さってくるかを基準に、
のように分類します。従って、軽症のものや一見瞼が下がって見えないものは「眼瞼下垂ではない」「軽度で手術の必要がない」と診断されがちです。
さの眼科(佐賀市)、町田美容皮膚科形成外科、ユニタ整形外科・形成外科クリニック、プレッツァ聖心美容クリニックのサイトより一部改変引用(引用元サイトとの利害関係はありません)
※ これらの説明図は、すべて単なる模式図です。単に瞼の開き方の大・中・小のイメージと捉えた方が良さそうです。
しかし形成外科では、眼瞼下垂の症状をより広く捉え、一見重症に見えなくてもいろいろな症状が隠れているのではないかと考えます。
詳しくは上の「代償」についての項目をご覧下さい。
例えば上の症例写真に挙げた患者さんの場合には、以下のような症状が見られました。
眼瞼下垂の手術は、先天性で筋肉の働きがほとんどない場合と、後天性で瞼の開閉自体には支障がない場合とで大きく異なります。
そのため眼瞼挙筋機能の評価は、とても重要なポイントです。
当院では、先天性の一部のものを除き、基本的に眼瞼挙筋短縮/前転法を基本とした術式を用いています。
症状により、腱膜のタッキングのみを行ったり、眼輪筋・脂肪組織の切除を追加したりしますが、保険適応となる症状であれば(吊上げ法による手術を除き)術式によって費用が異なることはありません。
(手術に際しては美容的な側面にも十分注意を払いますが、重瞼幅何ミリ等の細かなご注文には一部応じかねる場合もあります。)
先天性の場合でも、いくらかでも筋肉の働きがあれば、通常はまず「挙筋短縮/前転法」が適応になります。しかしこの方法で効果がない場合は「吊り上げ法」による手術が必要となります。
先天性の重度の眼瞼下垂では、眼瞼挙筋の完全欠損、または非常に菲薄化して収縮力の全くない場合、脂肪変性に陥って筋線維が乏しい場合などがあり、この場合は挙筋を前転しても収縮の強化が期待できないので最初から筋膜や人工物による吊上げ術を行なうべきだとする考え方があります。
しかし、横走靭帯が欠損していない限り、挙筋前転法と同じ方法で瞼板を靭帯に固定して吊り上げる手術が可能です。
この方法では吊上げ効果は限られますが上眼瞼のカーブが自然に保たれるので外見上の違和感が少なく、術後の回復も早いのでまず試みるべきでしょう。
挙筋機能があれば、前転の程度により開瞼をある程度コントロールできます。
多くの後天性(大人になってから症状が出てくる)眼瞼下垂では、挙筋機能は全く正常である場合がほとんどなので、タッキングのみでも症状は劇的に改善します。
しかし、やや古い術式で手術を受けた患者さんの再手術では、様々な重要部品が切除されたり切断されたりしている事が多く、必ずしも思い通りの手術ができるとは限りません。
片目だけ手術を行っても手術した側が不自然にぱっちりするなど極端な左右差は出ないこと、男性の場合、はでな重瞼ではなく控えめな方が自然に見えること、などを示すため、男性の片目の症例を並べて掲示します。
もちろん両眼同時に行った方が結果は良いことが多いです。
手術しなかった側の眼瞼下垂は術後やや進行したように見えます。(眉が上がってきていることに注目してください)
※ 両側眼瞼下垂 右側のみ手術希望 ▶︎ 術前→術後7ヶ月 手術しない左側に合わせて自然な開き具合になりましたが、左の眉が上がりました
※ 両側眼瞼下垂 左側のみ手術希望 ▶︎ 術前→術後3ヶ月 写真にポインタを重ねると眼を閉じた状態に変わります
以下の症例写真は、2009年に手術をした患者さんからご承諾をいただいて掲載するものです。
手術の結果には個人差がありまた、同じ患者さんの左右の瞼でも筋肉の発達や組織の厚さなどにはかなり差があります。従って、実際には1回の手術で完全に左右差を解消する事はかなり難しく、再手術が必要となる事もあります。しかし、術後の安静が保て、経過が良ければ、以下のようにかなり早期に腫れが引いて日常生活に戻れます。
上の写真で解説した患者さんの写真です。目を閉じても左右差があるのがわかります。右も軽度の眼瞼下垂ですが、今回は左瞼のみの手術を行ないました。
手術翌日に一旦テープを外した際の写真です。しっかりと瞼の筋肉を前転しているので、目が閉じにくく、また開いた時は睫毛が上を向くほど吊り上がっています。(固定ガーゼを外した直後のため跡がついています。)
4日目には腫れてはいますが異様な感じはなくなってきています。眉も下がってきました。
右は7日目抜糸直後の写真ですが、左が眉を上げなくても楽に開くようになったため、両側の眉が下がり、今まで目立たなかった右の眼瞼下垂が顕在化してきました。(いずれもドライアイによる結膜充血が生じています。)
術後約2週間半、18日目です。まだ腫れていますがむしろ手術した左側の方の眉が下がり、反対に手術していない右の眉が上がってきました。
術後3ヶ月目の診察の際の写真です。ようやく左目もしっかり閉じられるようになりました。
腫れも引いて左右の大きさもほぼ揃いましたが、わずかに右側の方が眉が上がり、瞼も下垂しています。
3ヶ月目の時点での比較です。まだこれからも腫れが引いて傷も目立たなくなって行きますが、大まかな腫れはほぼ落ち着いてきました。左側の術前の写真にカーソルを合わせると、術後との比較ができます。右側の写真では、術後に瞼がきれいに閉じている事が確認できます。傷痕はやや目立ちますが、位置の左右差はあまりないので不自然ではありません。
その後の術後経過を追加しましたが、大きな変化はありません。
上の写真とは異なり、写真の編集の際に瞳孔の位置や左右の角度などをそろえるための微調整していませんので、写真撮影時の顔の傾きなどのため、若干眉の位置が上下して見えます。参考写真としてご覧下さい。
同様に術後7ヶ月目と11ヶ月目の写真を並べてみました
撮影時刻やご本人の体調などにより、若干の変化はありますが、ほぼ落ち着いています。手術していない右の眉が少しずつあがってきているように見えます。