重瞼(二重まぶた)手術・切開法
切開法が基本です
まぶたの形は人によりさまざまです。基本的には生まれつき存在するラインを尊重した方が顔全体のバランスが取れますが、目頭の部分は切開線の開始位置によって印象がだいぶ変わります。(症例は他院で3年前に重瞼幅の狭い埋没をしたが、目頭が末広型に近くなったため、重瞼幅は細いまま切開法でやや平行型に修正し、合わせて少しまぶたをスッキリさせてまつげを心持ち上に向けています。)
後悔しないために
Q and A Part 1: 重瞼手術(切開法)
- 埋没法ではなぜ無理?
埋没法は、アイプチなどを繰り返して瞼の皮膚が薄く伸び、たるみがある場合や、逆に瞼に厚みがあり、ピンセットの先などで押し込んでラインを作っても、すぐに、あるいは1回まばたきをしただけでとれてしまうような方には向いていません。手術費用が安いからと無理してこの術式を選択すると、結果的に幅の広い不自然な重瞼になることが多いものです。
また埋没法は、永続性という点でもやや劣り、糸が外れたり緩んだりすることによって形が崩れることもあります。
埋没法で良い結果を得るためには、条件に合う瞼であるかどうかが最も重要で、不用意に行なうと、長期的に形のよい瞼を保つことは難しくなります。
- 切開法なら取れたりしない?
切開法の利点は、眉と睫毛との間の皮膚の長さをバランスよく整えるとともに、オプションとして発達しすぎた眼輪筋や眼窩脂肪、余分な結合組織を切除したり、睫毛の根元を剥離して睫毛が上向きになるように調整したりできることです。
あらゆる瞼に適応があり、デザインも比較的柔軟に行なえます。反面、術後の腫れはやや長引き、目立たないとはいえ切開の傷痕が必ず残ります。
瞼縁に残す組織量の調整や縫合の仕方で自然な感じからくっきりまである程度調整できます。
瘢痕を残さないことにこだわりすぎて内部の組織を温存しすぎると(いわゆる切って縫っただけの手術)、適切な瘢痕組織による癒着が起こらず、二重にならないこともあります。一番誤解を生じやすいのが、術前に決めた切開線と完成した重瞼ラインとは厳密には同じにならず、条件によっては全く違う位置にラインができることもあるし、時間が経てば変化することもあるということです。
(これは埋没法など他の術式でも同じです。切開法の方がコントロールしやすいというにすぎません。)- 術後に徐々に幅が狭くなるのを防ぐ方法はある?
通常,術後の瞼縁の腫れが引くに従って、重瞼の幅は徐々に狭くなっていきます。
これは腫れていた切開線の上の組織が徐々に柔らかくなって垂れ下がってくるためなので、当然の結果であり、それを計算に入れて手術をします。また、固定した位置そのものが徐々にずれていくこともあります。
ですから、腫れていることもあって手術直後はご本人もびっくりするほど幅広に仕上がることがまれではありません。
逆に長期間幅広に保つには、切開線を瞼板のような硬い組織にしっかりと固定する必要があり、皮下で細いナイロン糸を用いて止めることもあります。
ナイロン糸は普通人体に害はないため、内部を固定した糸は埋没させ抜きません。- 術後の上瞼のテーピングはなぜ必要か
大江橋クリニックでは通常,最低2日間はテーピングを外さないようにお願いしています。
特に一日目には、足許しか見えないほどがっちりと厚くガーゼを当てます。圧迫と固定が、翌日腫れないコツです。
2日目は通常、洗顔可能なジェルシートで特に瞼の縁を圧迫します。
組織がある程度癒着固定される前にテーピングを外し,擦ったリマサージなどをした場合、内出血したり腫れたりするだけでなく、せっかく作ったラインが移動してしまう事があります。
傷跡の組織は3ヶ月以上にわたって徐々に形を変えますが,特に最初の数日間は注意が必要です。手術が終われば形が決まるわけではありません。瞼の形は、術後の患者さんの日常生活の過ごし方によって変化していきます。特に瞼は、術後に長い間テーピングすることができない場所ですから、初期の固定が非常に重要な意味を持ちます。
切開法重瞼の手術法について
- 術前に椅子にかけていただき、幅と形のご相談をします
- 手術台に仰向けになり、顔の消毒をします
- 顔に目の部分だけ丸い穴の開いたシーツをかけます
- 血止めの道具などをセッティングして準備します
- 片方ずつ(通常は右から)計測してインクで皮膚に印を付けます
- 目尻の外側の皮膚の表面から目頭に向けて徐々に麻酔の注射をします
- 印を付けた部分の皮膚を予定の幅だけ切り取ります
- 切開した部分の中央付近から瞼の縁にかけて眼輪筋を一部切除します
- 高周波電気メスを使い丁寧に止血します
- 二重の幅を調節して皮膚の端と瞼板または眼輪筋を3カ所程度縫合します(行わないこともあります)
- 必要であれば脂肪や瘢痕組織を適度に切除します
- 目頭または目尻からナイロン糸で皮膚を連続縫合します
- 反対側も同様に操作を繰り返します
- 瞼の縁と眉の間にガーゼを置き,しっかりと圧迫固定します
- 次回診察までテーピングをとらないようにお話しして終了します
術後の経過とケアについて
- 手術当日はお顔が濡らせません。洗髪もお休みください
- 翌日一度診察させていただき,テーピングを更新します
- 腫れを防ぐため、手術翌日まで圧迫ガーゼを外せません
- 次回の診察時に問題なければ、テーピングのまま洗顔できます
- コンタクトレンズは最低1週間はお休みいただきます
- お渡しする内服薬は必ずすべて飲みきってください
- アイメイクは1週間程度お休みください
- 当日よりも翌日の朝の方がまぶたは腫れます
- 保冷剤などで患部でなくその周囲を冷やしてください
- マッサージやエステは腫れが引くまで行わないでください
- むくみをとる目的での利尿剤の服用は逆効果になります
- 約1週間目に抜糸します。抜糸の日程は多少前後する事があります
- 腫れや傷跡の赤みは人により数ヶ月続く場合があります
- タバコは傷の治りを極端に遅らせますのでお勧めしません
- 食事の制限はありませんがアルコールは控えてください
- 腫れが引くと二重の幅は徐々に狭くなります