美容外科とは
形成外科が「失われた(=正常ではなくなった、不便になった)機能を再建する」「損なわれた(=社会生活を送る上で不利益を伴うようになった)外観を正常に近く修復する」外科であるなら、
美容外科は今より社会生活を快適に送るため、生活の質を向上させるために、「正常な(=病気とはいえない)」身体に外科的侵襲を加えて、「生まれつき備わっている、あるいは現在の(病的でない、病気とまではいえない)外観や機能」を、よりよい方向に変更する外科といえます。
美容外科に対して「他人より美しくなるために、健康で正常な肉体に故意に手を加える」というイメージを抱いている人がいますが、これはあまりに一面的な見方です。
実は「他人より美しくなりたい」「もっと美人になりたい」という目的で美容外科を訪れる患者さんは非常に少数だと思います。(タレントや女優を目指す方などごく一部に限られているのではないでしょうか。)
多くの人にとって、美容外科は「病気とまではいえないにせよ、整っているとはいいにくい、美しいとはいってもらえない外観をなんとか人並みに改善したい」「社会生活を送る上で障碍(しょうがい)となっているコンプレックスを解消したい」人が訪れる場所だと思っています。
そうした考えに基づき、大江橋クリニックでは美容医療を、長い人生をより健康で美しく、若々しく過ごすための予防的、健康増進的医療と考えています。
瞬間的、刹那的な美を追い求めるあまり、その後の長い人生に傷を残す破壊的治療は行なうべきではないというのが私たちの考えです。
主にコンプレックスの原因となっている傷痕や各部のバランスの乱れを解剖学的に正常に戻すという考え方に基づいて手術を行なっています。
得られるものと失うもの
変化には必ず、得られるものと失うものの両面があります。これを理解できない方には美容外科は向いていません。
形の変化は、それと引き換えに痛みや傷跡や質感の変化などを残します。それは一時的である事もあれば、生涯のこる場合もあります。
また、変わる事そのものが、対人関係を変化させたり、本人のこころに負担となったり、人に言えない秘密となったりもします。
もちろん、美容医療を受ける事はいけない事でも恥ずかし事でもありませんが、社会の中で自分のありようが変化するとき、すべてがよい事ばかりではないことだけは心に留めておく必要があると思います。
チェーン店医療ではありません
大江橋クリニックで診療する2名の医師は、それぞれ権威と伝統のある大学や病院で形成外科・皮膚科の経験を積んできました。美容医療に関しては、いわゆる大手美容外科チェーンでやり方を習ったのではなく、形成外科、皮膚科の基礎の上に立ったしっかりとした美容医療機関で美容の経験を積んできています。
美容医療は、他科をドロップアウトした医師が1、2年の見習いで見よう見まねでできるほどいい加減なものではないと考えています。皮膚の微細な構造や機能、顔面や体の構造をある程度の期間専門的に学んでから行うべきものだと考えています。
耳介形成の場合
例えば耳介軟骨の変形を修正する耳介形成手術では、原則的に異物(シリコンインプラントやヒアルロン酸注入など)は使用せず、軟骨が不足して移植が必要な際もいきなり肋軟骨や鼻中隔軟骨など別の場所から軟骨を採取することはしません。反対側の耳から軟骨を採取することもどうしても足りない場青を除き原則的にしていません。できる限り手術する側の耳の中だけで軟骨を移動させて修復しています。
手術の過程で皮膚が不足する際には皮弁術や全層植皮術を併用することがありますが、その時にも手術する耳の周囲の皮膚を移動させることを一番に検討します。
いわゆる柔道耳や耳介ケロイドなどはご本人の体質が密接に関係しているため、手術治療にとどまらず術後の長期的な介入が必要です。このため頻回に通院していただくこともあり、手術したら終わりという考えはとっていません。卒業まで時間がかかることをご理解ください。
耳介の手術は保険の場合も美容の場合も同じ医師が行なっており、保険の適応がない立ち耳などと保険適応の形成外科で行う耳介形成手術に技術的な優劣はありません。
耳の手術は技術的難易度が高く、費用が高額になるため、適応があれば出来るだけ保険を適用します。費用負担を除けば手術法はどちらも似ています。
眼瞼形成の場合
眼瞼下垂症手術などの瞼の手術に際しても、できる限り自然な構造に戻すことを第一に考え、不必要な切除や切断は避けています。
重瞼埋没法は最近複雑に多数の糸をかけて取れにくくする術式が流行していますが、できる限り単純なループで形をつける方法を変えるつもりはありません。簡単に形がつかないようであればそもそも埋没法に向いていないのだと考えています。
切開に際しては生まれつきある重瞼ラインからできるだけ離れないようにラインを工夫しています。皮膚を切除する際にも瞼全体の皮膚を計測し、解剖学的に無理のない切除ラインを決めて切開します。ラインの取り方は経験に基づき、計測した長さと皮膚の流れを勘案して決めています。患者さんに鏡を渡して自分で決めさせ責任を取らせるつもりはありません。希望は聞きますがそれを医師が技術的に可能な方法に翻訳して手術します。不自然に目尻を釣り上げたり、目頭切開を追加することも避けています。
筋肉や脂肪に操作を加える際には正常な構造からの逸脱を見極め、出来るだけ無用な切除をせずに元に戻す方向を探ります。目尻切開など眼瞼の構造を壊して涙の流路を阻害する術式は採用していません。ハムラ法などのすでに一般的になった術式にも、正常な構造を壊して下眼瞼の構造を不安定にする欠点もあり、適応は慎重に行っています。下眼瞼の手術はダウンタイムが大きい方法を採用していますが、筋肉と皮膚の位置関係を是正して長持ちする構造を作るため必要と考えています。単純に皮膚や脂肪を切除しても(いわゆる脱脂も含む)短期間で効果が失われ変形してくるからです。
レーザー治療、美容皮膚科診療の場合
美容総合レーザー治療「お肌デトックス」は大江橋クリニック開院以来の人気治療です。いくつもの治療方法を組み合わせていますが、それぞれ出来るだけダウンタイムを作らず肌の活性化を図る目的で選ばれています。
大江橋クリニックの美容レーザー治療の特徴は、まず第一に「形成外科医(井上)と皮膚科医(小川)の合議制による治療」と言えるでしょう。
レーザー照射に関しては形成外科医が主導権を握り、メディカルエステの分野は皮膚科医が大きな発言権を持ちますが、原則的に対等に意見を述べ合って最適な治療法を探ります。用いるレーザーの波長選択や順番にも工夫をしています。
炎症や色素沈着の皮膚科的治療にレーザーが必要になった場合など、緊密な連携は様々な場面で威力を発揮します。
ここまで緊密な連携を保った診療は、もちろん医師一人の個人医院では不可能なことですし、複数の医師を擁する大病院でも他科・他の医師との連携は難しいものです。
ケミカルピーリングやイオン導入などのメディカルエステ的治療と多種類のレーザー治療とを同時に行なって肌の活性化を図る治療は、大江橋クリニックが世界に先駆けて始めたものですが、絶えず改良を続け最近も内容に大きな変更を加えました。おそらく他の医療機関では真似のできない手技になっていると思います。レーザー光の性質や原理を踏まえての変更は今後も続けていきます。
美容皮膚科では美容診察とレーザー治療を主に、内服、外用治療を併用し、ある程度軌道に乗ってきた肌の維持はレーザー治療を継続していただくことが多くなっています。レーザー治療の理論的背景をご理解いただくのは難しいのですが、皮膚の再生と活性化のためには優れた方法だと考えています。
詳細は美容皮膚科のページやレーザーの解説ページでご確認ください。