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傷痕をきれいに ケロイドと瘢痕
〜 Keroids and Scar/Scarcontracture 〜

大江橋クリニックは傷跡の仕上げ治療にも力を入れています。
症状によっては健康保険適用も考慮しますが、
見た目の改善を目的とする場合は自費治療になります。
局所麻酔による修正手術とレーザー治療を行っています。

左右とも1回目の手術後、複雑な傷は1回の手術では完治させられない
左:X字型の瘢痕をZ形成 右:フロントグラス多発外傷/瞼のみの修正

鼻の下の細かい擦り傷も手術で一部切除してからレーザー治療でより滑らかに仕上げる

単純に傷痕を切除して縫い合わせるだけでなく、Z形成、Y−V(またはV-Y)形成、W形成などと呼ばれる様々な皮弁形成を組み合わせたりして傷を目立たない形に変えます。1回で改善できない場合は数ヶ月の期間をおいて手術を繰り返す場合もあり、テーピング期間を含め長期の通院を必要とします。術後にレーザー治療で早く傷の赤みを消す治療を追加することもできます。他の部位の症例はこのページの下部にも掲載しています。

けがややけどの跡ばかりでなく、整形外科や産婦人科の手術跡がなかなかきれいにならず苦しんでいる方はたくさんいます。大江橋クリニックは傷痕をきれいに治す手術を専門的に行っています。見た目をきれいに治す手術は、基本的には自費診療となります。

傷跡の治療の相談

まず予約フォームから診察を予約してください

けが・手術をした時期、部位(左右の別も)、大きさ、色、形、痛みなどの症状、治療歴などをできるだけ詳しくフォームにお書きください。
症状により資料を準備したり診察時間枠を確保したりした上で診察させていただきます。

今までの治療歴についてきちんとまとめる

手術・レーザー治療、ステロイド注射等を受けている場合は、治療した医療機関、治療時期、回数、治療方法、どの程度改善したかなどをできるだけ詳しく継時的にまとめてください。

紹介状を準備する

治療を受けた医療機関からの紹介状(診療情報提供書)をご用意ください。最後に治療を受けた医療機関から直接大江橋クリニック宛にお送りいただくのがベストです。年数が経過していても主治医が交代していても、カルテが残っていれば発行してくれます(健康保険で治療を受けていれば、紹介状料は通常は保険がききます。)
医師の目から見た症状の程度と治療結果がきちんと書かれていれば、さらなる改善が可能かどうかの判断に際し非常に役立ちます。ぜひご協力ください。

※  転居、医療機関の廃止など紹介状が準備できない場合はその旨お知らせください。

治療法の検討

傷跡の仕上げ手術(見た目の改善)は保険が適応されません。大江橋クリニックでお引き受けする手術の90%以上は自費で行っています。

参考:瘢痕拘縮形成術が保険適応になる症状とは

診療報酬点数表(健康保険治療の料金表)には、
◇ 瘢痕拘縮形成術について
 (1)単なる拘縮に止まらず運動制限を伴うものに限り算定する。
 (2)略(指の場合)

とあります。

「運動制限を伴うもの」とは、関節が曲がらないなど動きそのものが制限される場合や、動かすと強い痛みがあるなど苦痛のために運動できない場合があります。
小さな傷や額や鼻の傷、体では手足の関節以外など「通常自発的に動かさない部位」は保険が適応されません。

見た目の醜さ(醜状)、傷の大きさ、目立つ場所かどうか、などは一切考慮の対象になりません。

参考症例:フロントガラス外傷の例(ページトップの右側の症例)

約30年前の症例です。今では起こりにくいことですが、瞼の開閉が困難なため、運動制限ありとして保険で重瞼手術を行いました。

救急搬送先で十分な異物除去を行わないまま、止血目的でガラスの破片が皮下に入ったまま縫われてしまった。3DCTをとると大小のガラス片が多数皮下に残っており、細かな骨折も放置されていた。
まず右眉と左眉下を切開し、一旦傷を開いて異物(細かなガラス片)を丹念に取り除いて再縫合した。左上眼瞼外側には1センチほどのガラス片があり、開瞼を妨げていた。右に合わせて左は重瞼ラインを作成した。
ダウンタイムの長期化を望まない本人の希望もあり眉と瞼周辺の傷のみ修復し、他は自然の経過に任せた。

手術後の傷痕など

引きつれていても運動に支障がない部位は自費手術となります。
基本的には大きさ、場所、困難さに応じて費用を決めています。

自費診療の料金表

外科・整形外科・産科等の術後の傷跡修正

外科手術(腹部手術や外傷術後)、整形外科手術(骨折など)や産科手術(帝王切開、子宮筋腫)の後で、傷痕が思ったようにきれいにならず、場合により幅広く赤く盛り上がって、かゆみや痛みを伴って長く残るもの(肥厚性瘢痕・ケロイド)があります。
このような場合、手術によって傷を目立たなくできるばかりでなく、痛み・かゆみなどの症状も軽くすることができます。

手術のイメージについて(瘢痕形成術などの場合)

  1. 予約日に、血液検査を行い、予約料をお支払いいただきます
  2. 予約日までに手術料をお振込みいただきます(通常1週間前まで)
  3. 手術時間の少し前においでいただき、トイレを済ませ、着替え、洗顔などしていただきます
  4. 手術内容によっては事前に痛み止め、抗生剤、止血剤等のお薬を飲んでいただきます
  5. 手術台に寝て体位を整えテーピングなどで患部が手術しやすいように準備します
  6. 血圧測定、写真撮影と手術部位のかんたんなマーキングをします
  7. 手術部位の消毒をし、その部分だけが露出する穴の開いたシーツをかけます
  8. 細かく切除範囲の計測や手術デザインをしてインクで印を付けます
  9. 切除する部分に麻酔の注射をします
  10. 印を付けた部分の皮膚をメスで切開し、傷んだ皮膚を切除していきます
  11. 傷が無理なく縫い寄せられるように、補助切開や剥離をします
  12. ※ 皮膚がどうしても足りない場合は、他の部分を麻酔して、移植に必要な皮膚を採取することがあります
  13. デザインにあわせて、太めのナイロン糸で中縫い(真皮縫合)を行ないます
  14. 皮膚は細いナイロン糸でできるだけきちんと縁をあわせて縫合します
  15. (必要であれば植皮部などを固定するためガーゼや綿、スポンジなどを皮膚に固定します)
  16. 傷にガーゼを当てて厳重に圧迫テーピングを行ないます
  17. 防水シートをはったり、関節を固定する添え木を宛てて包帯を巻いたりします

術後の経過とケアについて

  • 手術当日は創部を濡らせません(入浴はお控えください)
  • 原則、手術翌日の診察で出血や異常のない事を確認させてください
  • 翌日傷の状態を診て、入浴、洗顔などの指示をします
  • 当日、翌日は周辺が少し腫れますが、痛みは通常ほとんど出ません
  • お渡しする内服薬は毎日内服し必ずすべて飲みきってください
  • マッサージやエステ、運動は腫れが引くまで行わないでください
  • 腫れや傷跡の赤みは体質により数ヶ月続く場合もあります
  • タバコは傷の治りを極端に遅らせますのでお勧めしません
  • 食事の制限はありませんがアルコールは抜糸まで控えてください
  • 傷をきれいにするため、通常術後3ヶ月程度のテーピングをお願いします

自費診療の料金表

Z形成とW形成・Y-V/V-Y形成・皮弁形成術

傷痕はケガをした時から変化してかなり変形している筈です。拘縮した(引き攣れた)傷跡は、通常ケガをした直後よりかなり縮んで硬くなっています。
手術で傷痕の組織を切除すると、傷は最初の大きさに戻るため手術前より大きくなったように感じます。大きな傷であれば最初は皮膚欠損もあったかもしれません。脂肪などが瘢痕組織に置き換わって柔軟性が減少した可能性もあります。単に傷跡を切り取って同じ形に縫いなおすだけでは、また同じような拘縮を来すことが予想されます。

それらを考慮しながら、皮膚をブロックに分割して切開し「動きやすい方に動かす」ことで、将来拘縮を生じにくい「新しい傷」に置き換えるのが「瘢痕拘縮形成術」です。

W形成術とZ形成術の説明図

傷跡の周囲をジグザグに切って広げてから組み合わせて縫合したり(W形成)、切開線の途中の両側に補助切開を入れて伸ばし、皮膚の一部を入れ替えたり(Z形成)、あるいはジグザグに切った皮膚を引き寄せたり緩めたりしながらわざとずらして縫合したり(Y-V/V-Y形成)して、新たな拘縮を予防する必要があります。
また、余裕のある部分から皮膚の足りない部分に皮膚を移動させる方法(皮弁作成・移動術)もとられます。

皮膚に余裕がなく、皮弁を引っ張って縫い寄せると血行が悪くなるような場合、あらかじめ切開して皮弁の作成だけをしておき、後日血行が良くなった皮弁を移動する方法などもあります(遷延皮弁術)。
皮弁を動かした後の皮膚欠損などは、植皮術を行なって塞ぐこともあります。

Z形成術の症例(上図右側の説明図と似たものを選びました)

胸部の外科手術(肺の手術)が術後肥厚性瘢痕となり瘢痕拘縮形を来した症例です。
傷跡が長く、一度の手術で全て切除すると固定や運動制限が長引くと予想されたため、下方2/3のZ形成を行いました。
ケロイド体質で再発も予想されるため、一部再発が見られた場合は上方の切除術を行う際に修正することも考えました。

※ 胸部術後瘢痕拘縮形成術(左)術前>(中央)手術終了時>(右)抜糸直後

W形成術の例(実際にはZ形成を連続しておこなっています)

白く目立つ上方1/2のみを形成
瘢痕を切除して周辺を剥離
抜糸直後
術後1ヶ月
術後2ヶ月
術後3ヶ月 テーピング継続中
術後約11ヶ月

瘢痕拘縮のない傷痕治しの手術です

下肢の外傷後の瘢痕

瘢痕形成術(切除8cm+Z形成3箇所)
基本手術料300,000円(税抜)程度

ひざ下の線状の白い傷痕(瘢痕)で拘縮(ひきつれ)も運動制限(関節の曲がりにくさや痛み)もないので、保険適応ではなく美容手術(自費)になります。

白く色素が抜けた瘢痕は放置しても色が濃くなることはないので、切除することにします。
傷を形なりに切除したあと周囲の皮膚を剥離すると傷は大きく開きます。直線の傷は目立つのでジグザグにします。今回はW形成すると正常な皮膚を切り取って捨てることになるのでもったいないと考え、小さなZ形成を複数箇所行いました。考え方としてはとしては上に挙げたZ形成術とW形成の合わせ技のような感じです。
W形成を行っても結果には特に大きな差がありませんが、少しだけ皮膚を引っ張り寄せる距離が増えるので、傷の緊張が強くなり、テーピングの固定期間が伸びます。今回は術後6ヶ月目までテーピングを行っています。テーピング中止後、少しだけ瘢痕に幅が出て白いジグザグ線が残りました。周囲に赤みがあるため目立ってしまいます。この様な場合、レーザー治療で周囲の皮膚を白くするとより目立ちにくくなります。
手術料は難易度や症状を加味して、ご相談のうえ決定します。

赤みのある間はテーピングが必要です。テーピング期間を短縮するために、赤みをひかすレーザー治療を月1回程度すると効果があります。傷の成熟を促す内服薬を飲んでいただくこともあります。

自傷(手首のセルフカット等)の傷痕

症例準備中

手首の傷痕は目立ちやすく消したい傷の一つですが、
完全に消すことは不可能なので通常は傷の形を事象瘢痕とは見えにくいように変えて目立ちにくくする工夫をします。

具体的には整形外科の骨折の手術痕等に見せかけるなどの方法をとることもあります。

植皮は行うべきではありません。その理由は診察時にご説明します。
自分の意志で切った傷や、酒に酔って転倒したなど自己責任がある事故等の傷痕は、健康保険の対象になりません。自費での手術になります。

大きなものは一度では治せません。複数回の手術が必要になる場合は、2回目も同程度の費用がかかります。

症状によってはレーザー治療等をお勧めすることがあります。

もう傷跡が増えなくなった時 ご相談においでください

自傷せざるを得ない精神状態のときは、手術や術後のストレスにも過敏になっています。過去の自分を客観的に見られるようになってから、ご相談にお越しください。

刺青(tattoo)切除

大江橋クリニックではTattooのレーザー治療は行なっていません

刺青(tattoo)除去は基本的にはレーザーで治療すべきと考えています

刺青(tattoo)はレーザー治療を繰り返すことで薄くなります。
Qスイッチ式のような長短パルスレーザーで色素の粒子を細かくすることで、体内で色素を処理しやすくすると徐々に消えていきます。
従来は色素の量によっては非常に時間がかかりましたが、ピコセカンドクラスのレーザーが普及したことによって治療しやすくなりました。
大手の美容外科や最近開業した施設の多くはピコ秒レーザーを導入していますので、相談してみると良いと思います。

最初から切除を希望される方がいますが、特別な思い(皮膚を切り取って捨ててしまいたい、など)がなければ、まずレーザー治療を行ってみるべきだと考えております。

それは、うまくいけばほとんど傷跡を残さずに除去できる可能性があるからです。
切除や皮膚削りなどの方法では、どんなに慎重に手術を行なったとしても必ず消えない傷が残ります。
最終的に切除するにしても、完璧でなくとも、レーザー照射により部分的に消えただけでも切除範囲が大幅に減らせることもあります。
切り取る前に、1回でもよいですからレーザー治療を行なってみてください。

それでもという方のための刺青(tattoo)切除

  • 必ずTattooのあった場所にある程度の傷跡が残ります
  • 傷をきれいに治すためには長期間のテーピングや運動制限などが必要となります
  • 大きなものは数回の分割切除が必要になります
  • そもそも切除不可能な大きさや部位があります

上記を十分ご納得いただいた上で、可能であれば切除手術を行います。
健康保険の対象にはならず自費治療となります。

大きなものは一度では治せません。
複数回の手術が必要になる場合は、2回目以降も同程度の費用がかかります。

※ 現在、特別な場合を除き受け入れを停止していますが、事情により相談をお受けする場合もあります。

1回で切除できる範囲のめやす

当院には入院設備がないため、局所麻酔で行なえる範囲の手術になります。
局所麻酔に使用する麻酔薬は、極量(1回に使用できる最大量)があり、それを超えると中毒症状が出る場合があります。
また極量以下であっても、患者さんの体重(麻酔薬は脂肪組織に吸収され一時的に蓄積するため)や体調によって、使用量を控えざるを得ない場合があります。
患者さんの痛みに対する感受性によっては、一部分に使用する麻酔薬の量が増えたり、あるいは麻酔の濃度を濃くしたり(2倍の濃さになれば使用量は半分にしなければなりません)、時間を置いて使用したりする場合が出てきます。
麻酔薬の効いている時間内に手術を終えないと追加の注射が必要になりますから、手術しにくい部位で時間がかかる場合は安全圏を見込む必要があります。

このような理由から、当院では1回の切除範囲は面積でいえば最大はがきサイズ程度(ただし無理なく縫い寄せられる幅であること)、長さでいえば20センチ程度、部位でいえばワンポイント的な大きさで2カ所程度を一応の限度と考えています。

切除した部分の傷が治癒して赤みも目立たなくなるまでには通常3ヶ月〜半年程度かかります。近接した部位、連続した部位に関しては、傷が落ち着いて周辺の皮膚がある程度伸びてくる3ヶ月〜半年程度で次回の手術が行なえると考えています。
もちろんその患者さんの皮膚の厚さや性状、部位によって傷の治り方はそれぞれ異なるため、通院していただきながら次回の可能性を探る形になります。

Tattooの例

このような場合、1回では切り取れません
※ イメージ写真であり、患者さんの写真ではありません

傷の安静と固定

手術をした日から治療が始まる

手術を受ければそれで傷痕がきれいになるわけではありません。
手術は、傷を新鮮な(受傷直後の)状態に戻すだけです。そこから傷は治り始め、数ヶ月かかって古傷になっていきます。
もし、術後の管理が悪ければ、傷は再び拘縮を起こし、また引き攣れたり盛り上がったり痛みが出たりし始めます。

手術は傷を治すきっかけに過ぎないのです。
きれいな目立たない傷痕にするためには様々な工夫が必要です。
手術は、そこから始まる医師と患者さんの二人三脚の、スタート合図に他ならないのです。

傷をきれいに治そうと思う医師ならば、術後は傷のことが気になって仕方がない筈です。
術後出血や感染だけでなく、患者さんの日常生活(食事、入浴、運動習慣、仕事の内容、飲酒や喫煙など)も傷の治り方には重大な影響を及ぼします。
できれば安静にしてほしい、しかし仕事は休めない、そんな時は、傷の安静のためにテーピングやスポンジなどで厳重に固定して経過を見ます。
抜糸を看護師さんに任せたり、術後の診察を省略したりする医師が居るようですが、その医師は自分の行なった手術の結果が気にならないのでしょうか。大江橋クリニックでは、長期間の経過観察に同意していただけない方の手術はお受けしません。

瘢痕は縮む

拘縮(引き攣れ)は、傷が縮むことによって起こります。傷痕の組織には線維芽細胞によってコラーゲン線維が追加されていきますが、最初は柔らかいコラーゲンも徐々に固まり収縮します。赤く盛り上がって固い傷痕はこうして成熟していきます。

瘢痕は伸びる

しかし、傷痕ははじめ細い一本の筋だったのが、徐々に幅が広くなるではないかという方もいます。広がって1センチ以上になり、赤みが出て痒くなったりもします。幅の広い瘢痕はコラーゲンの塊で埋め尽くされています。

瘢痕は丸くなろうとする

結局、傷痕は「球体」に近づこうとする、と考えると分かりやすいかもしれません。コラーゲンは最初流動性のある液体のようなものです(美容で皮膚に注入するコラーゲンを考えていただければ理解できるでしょう。)液体はその表面張力で「水玉」のような球形に近づこうとするのです。
それを許さず、傷の表面を貼り合わせる薄い糊(のり)として働いてもらえれば、傷は細い1本の筋で治まります。

内服薬やテーピングは効果があるか

傷がきれいに治るとは、傷を修復するためにその傷跡に追加された無構造のコラーゲン線維がきれいに整列して薄い膜状になり、その両側に広がる組織があたかも連続して見えるようになることを言います。
二つの部品を貼り合わせるとき、きれいに仕上げようと思えば糊はできるだけ薄く塗り、密着させた後は糊が完全に乾くまで動かないようにしっかりと固定します。

合成されたコラーゲン線維が周囲の分子としっかりと架橋し動かなくなるまで、平均的には3ヶ月以上かかります。
その間動かないように固定するか、固まるのを加速するか、で傷の運命が決まります。
テーピングは傷隠しではないのです。動かない様に、伸び縮みしないように、ずれないように重ねて貼ります。ですから、伸縮性のあるテープは使えません。

内服薬については、はやく炎症が治るように消炎作用のある薬を使用するか、コラーゲンの合成や架橋をコントロールする効果のある薬を使用すると、傷の成熟が早まります。
しかし傷が運動し動揺している状態では薬の効果はそれほど高くありません。

レーザーの効果

ケロイドや肥厚性瘢痕にレーザー照射すると盛り上がりが小さくなったり赤みが引いたりします。それは、瘢痕を構成する組織の中に血管が含まれ、その血管がレーザーで破壊されることにより起こると一般的には考えられています。
それが一時的なものに過ぎないのか、瘢痕を成熟に向かわせるのかは議論のあるところで、レーザーはケロイドには効果がないと断言する専門医もいます。

私たちはレーザーで瘢痕を成熟に向かわせることができると考えていますが、どんな場合にも効果があるとは言い切れず、照射条件や体質、傷の状態などにより1回の照射で完全消失するケロイドもあれば、繰り返してもなかなか効果が出ないこともあります。

熱傷・外傷後の肥厚性瘢痕・ケロイド

赤く盛り上がった傷には肥厚性瘢痕とケロイドがあります。正確な診断が必要です。

肥厚性瘢痕

肥厚性瘢痕は長期的には徐々に改善して行きますが、経過は長く数年かかる事もあります。
傷跡を小さくするためには上の項目で説明したような瘢痕形成手術が最善ですが、関節固定やテーピングなどを術後長期間行なう必要があり、最低3ヶ月から半年程度は2〜4週間ごとに通院加療が必要となります。
手術が行なえない場合、内服薬や貼り薬、塗り薬などで治療を行ないます。可能であればテーピングを長期間併用する事もあります。赤みや盛り上がりについてはこれで改善する場合もありますが、傷の大きさはもとのままで、最終的には白い傷跡として治ります。

赤みを早く消すためにレーザー治療をお勧めする場合があります。一時的に悪化したようになる場合もありますが、通常1ヶ月程度の間隔で照射を繰り返すことで徐々に目立たなくなります。(レーザー治療は保険適応がありません。)

ケロイド

ケロイドの場合は字事情が異なり、手術可能なこともありますが、通常はケロイドを切ると更に大きくなるという厄介な性質があります。
手術をする場合にはその後放射線治療を受けていただく事もあります。(放射線治療は大学病院等をご紹介して、そちらで受けていただく事になります。)
ステロイド注射を繰り返すと縮小するものもありますが、完治することはなく、痛みを伴う事や通常の皮下注射用の薬剤では効果が乏しい事などがあり、当院では行なっていません。
貼付けテープ剤、内服薬の併用で徐々に赤みやかゆみ、痛みを減らす方法も有効です。時間はかかりますが、手軽でコンプライアンスは高いように思います。

赤みを早く消すためにレーザー治療をお勧めする場合があります。通常1ヶ月程度の間隔で照射を繰り返すと徐々に縮小します。(レーザー治療は現在のところ保険適応がありません。)

<以下編集中>