形成外科/整形外科/美容外科の違い
形成外科は、歴史的に比較的新しく登場した科であると同時に、日本では整形外科と名称が似ているために、よく混同されます。守備範囲も全身に及び、扱う臓器も内蔵、骨、筋肉、皮膚から耳や瞼、口の中まで幅広いため、名前を聞いただけでは何をやっているかわかりにくい診療科です。
形をなおすのが形成外科
簡単に言ってしまえば、形成外科(plastic surgery)は形を治す医療です。
プラスチック・サージェリーのプラスチックとは、plast(何かの元となる、形のはっきりしない物体を表す)が元となってできたことばで、plasterといえば石膏、しっくい、絆創膏のように隙間を埋めたりものをくっつける素材、plasticsになると柔らかくていろいろな形に整形できる粘土のような化学物質を表します。
プラスチック・アート(plastic art)といえば彫刻や彫塑、造形美術のこと。このアートをサージェリー(外科手術)に変えたものが形成外科になります。
つまり、形成外科手術とは、人体に手を加えて損なわれた部分を補い、人体そのものをできるだけ理想に近い形に仕上げること、というイメージを持っていただければおおよその雰囲気はつかめるでしょう。
形成外科では、まず形ありき、という考え方をします。顔でも体でも手足でも、正常な(あるいは通常の)形と異なっていれば、それを元に戻すために様々な手段を講じます。形成外科の手術をしばしば「再建」といい、「形成・再建外科(prastic and reconstructive surgery)」とも呼ばれるのはそのためです。