大江橋クリニックで行う瞼の手術の例
左 】汗管腫部分切除術後7日目 右 】眼瞼黄色腫(他院で切除術後再発症例)
大江橋クリニックで行なっている眼瞼下垂症の手術については、以下の眼瞼下垂のページにまとめてあります。ご参照ください。
左 】汗管腫部分切除術後7日目 右 】眼瞼黄色腫(他院で切除術後再発症例)
瞼のできもの(黄色種、汗管腫、皮様嚢腫など)やほくろは、切り取ると変形を残しやすい場所だけに、形成外科的な治療が必要となります。
色素細胞性母斑、母斑細胞性母斑、メラニン細胞性母斑などとも呼ばれます。
「母斑」とは「アザ」のことであり、生まれながらに存在することを示しています。
実際には大人になり、特に30歳を過ぎた頃から目立って数が増えてくることが多いのですが、この場合も「眼に見えないほど小さなものが、もともとその場所にあり、徐々に拡大して眼に見える大きさになった」と考えられます。
生まれた時からある程度の大きさがあり、あまり盛り上がっていない場合は通常「黒アザ」と呼ばれることが多いのですが、組織学的には同じものです。ほくろの上に毛穴があれば、黒く長い毛が生えてきます。
ほくろは黒いとは限らず、色がなくイボのように見える場合もあります。
ほくろかどうかを肉眼的に判断することは難しい場合もあります。
このような場合には切除して精密検査を行なった方が良いでしょう。肉眼的にはいぼのように見える悪性腫瘍もあります。
ほくろそのものは通常悪性ではありませんが、黒いできものがすなわちほくろであるとは限らず、ほくろに似た皮膚がん(悪性黒色腫や基底細胞癌など)の場合もあります。
小さいうちに悪性かどうかを肉眼的に判断することは難しい場合があります。
最近はダーモスコープ(皮膚用実体顕微鏡)を用いることである程度見分けがつくようになりましたが、100%確実とはいかず、怪しいものは最終的には切除して精密検査を行なう必要があります。(実際に直径1ミリ〜3ミリ程度の、肉眼的には普通のほくろのように見える黒い悪性腫瘍を切り取った経験は多数あります。その中には、ほぼ普通のほくろだと思って切り取ったが検査したら悪性であった、というものもあります。)
いわゆるホクロを美容的な目的でとる場合には保険適応となりません。(→ 美容外科)上で述べたように皮膚のできものには悪性のものもあり、ホクロのように見えて違うものがたくさんあります。当院では必要であれば手術的に切り取り、病理診断を行います。
通常は単純切除します。ある程度大きくなると、切り取った後の瞼の皮膚が欠損するため、皮弁術などの形成外科的工夫をして瞼の再建を行なう必要があります。
傷痕はできる限り小さくめだたなくなるような工夫をしています。切除法は部位によって変わります。複数を一度にとる場合など、特殊なデザインを必要とする場合もあります。
瞼の縁や睫毛の間、眉の中などにできたものは、眼の形が変わらないように、毛が欠損しないように様々な工夫をします。再発を覚悟しても毛根を傷めてハゲにならないように浅く削ぎ取るように切除したり、縫わずに変形を防止したりもします。
もちろん悪性のものなど、より専門的な治療が必要な場合は、しかるべき施設をご紹介いたします。
顔面に多発するホクロを7カ所切除したうちの一部。
術後6ヶ月 三角形の傷痕が残っているのは下記のような皮弁による再建を行なったため。
通常は単純にできるだけ形に添って切除します。ある程度大きくなると、切り取った後の瞼の皮膚が欠損するため、皮弁術などの形成外科的工夫をして瞼の再建を行なう必要があります。
コレステロールを溜め込んだ細胞が増えていることから、高コレステロールの治療薬を内服する試みもされましたが、通常あまり効果はありません。見えているよりも広範囲に深くまで広がっていますから、切り取る事は簡単でも、傷をきれいに治すのは難しい腫瘍の一つです。
左の写真は、このページトップで紹介した再発症例(他院形成外科で切除したがとりきれておらず、切開線に沿って再発した)の術中写真です。
眼輪筋に染み込むように黄色い腫瘍が深くまで侵入しているのがわかります。
通常は眼瞼の周囲に多発する腫瘍ですが、場合によりこめかみや額、鼻根部まで広がる事もあります。
小さいものがぱらぱらと多発する場合と、つながり合って局面状になる場合があります。本体は皮膚の下にあるのですが、皮膚が白っぽく盛り上がるため、針で穴をあけたり削ったりすれば治りそうに見えます。
実際には深いので切除しないと治癒しませんが、非常に数が多い場合や面積が広い場合、すべては切除しきれません。切り取った後の瞼の皮膚が欠損する場合は皮弁術などの形成外科的工夫をして瞼の再建を行なう必要もあります。
見えているよりも広範囲に深くまで広がっていますから、すべて切り取ってきれいに治すのは難しい腫瘍の一つです。
汗管腫の本体は紫色に染まる表皮よりかなり深いところに広がっています。この深さまで切除しないと治癒しません。
CO2レーザーで蒸散する事もありますが、傷痕が白く目立ちかえって悪化したように見える場合があり、お勧めはしません。
現在のところ一つずつ丹念に切除するのが最も結果が良いようです。通常は片目ずつ、多発しているものを不連続に切り取ると、変形も少なく回復も早いようです。
目立つものを一つずつ丹念に切除縫合し、3〜5日目に抜糸します。術後しばらく赤みが目立ちます。この症例は11カ所切除(手術時間1時間)、3日目抜糸、右は術後7日目の写真。
多くは眼窩の内側か外側に生まれつきある腫瘍です。奇形種の一種で、中には液体とともに毛髪や皮膚の一部、時には歯や骨の組織が含まれることもあります。眉の下の線に沿って切開し、袋を破かないように摘出します。骨に接触している事が多く、深いためにやや慎重な手術が必要です。
症例1: 日光角化症は前癌状態とも言えるので、中央に発生した皮角は切除し病理検査で悪性でないことを確認します。
術後1ヶ月です。腫瘍が重瞼ラインと睫毛の間の盛り上がった部分にあったため、まだ赤みがあり重瞼幅もやや広く腫れていますが、傷跡はほとんど目立ちません。腫れているように見えますが、下のように両目を比較すると1ヶ月後にはさほど目立ちません。
上左は症例1の病理組織像です。表皮突起の著名な延長と角質増加で、疣状の変化を来していることがわかります。
症例2: 脂漏性角化症
左:術前 右:手術デザイン このようなデザインにしたのは理由があります
縫合直後と術後1ヶ月です。傷跡は赤みがあり腫れています。肥厚性瘢痕という状態です。本来なら紡錘形(細い木の葉型)に切除して上の症例1のように細い1本の線にすべきところです。
なぜこうなることを予想しながら上手右のようなデザインにしたのでしょうか。
答えは下欄をお読みください。
症例2の病理組織像です。拡大率は違いますが症例1と同じような状態です。
右図は術後1ヶ月の両眼開瞼時。実は患者さんは奥二重でした。
もし安易に紡錘形切除をすると、その瘢痕が重瞼切開法の高い位置どりの重瞼ラインのようになって、左眼だけ幅広の二重になってしまう可能性がありました。
このため、肥厚性瘢痕になる危険を承知で、切開位置に重瞼ラインを作らないようにZ型に切開したのでした。
肥厚性瘢痕は、術後1ヶ月くらいが一番目立ちますが、その後引いて傷も白く柔らかくなります。瞼はケロイドになりにくい場所ですので、長期的には特に心配がありません。
生まれつきあるイボの集まりのようなあざ(母斑)です。体のどこにでもできますが、皮膚のシワに沿うように列状に並ぶのが特徴です。
レーザーなどで表皮を完全に削り取ることで治療できますが、イボ状に部分は凹凸が激しいため、取り残すと再発してきます。できれば切り取ってしまいたいあざです。
下の写真は、下眼瞼の縁ギリギリに生まれつきあったものですが、手術で全切除しました。再発なく、傷跡も目立たず、良好な結果です。
普通の表情の時はあまり目立ちませんが、上方視するなど表情によっては異物が付いているようにも見えて気になります。
術後1ヶ月目。まだ赤みがあります。まつげの生え際で皮膚をT字型に寄せてあるため、多少引きつれが残っています。
術後半年です。傷跡は右の写真のように皮膚を引っ張ってもほとんど目立ちません。
黒子を取りたいということで診察したところ脂漏性角化症でした。
下眼瞼の腫瘍は術後1ヶ月くらいで比較的きれいに治ります。
病理所見です。病理組織上も偽角化嚢腫を伴う脂漏性角化症と確認できました。
睫毛が内側を向いて目に入っていたい「逆まつげ」は睫毛内反症と言います。眼科で行う簡単な手術は健康保険で受けられます。
編集中
二重にする手術と同じであると誤解して、健康保険で二重の手術を受けようと、特に症状がないのに逆まつげだと言って受診される方が稀にあります。
逆まつげの手術は二重の手術と同じように見えますが、手術に当たって注意するポイントが異なるので、必ずしも美容的に満足できるとは限りません。
実際に診察すれば症状がないことはわかるのですが、わかっていても黙って手術を引き受ける医師もいるかもしれません。
しかし身にやましいところがあれば、万一不満足な結果に終わっても文句も言いづらいでしょう。
美容の手術はきちんと美容目的である事をお互いに合意して行なう事が、無用なトラブルを避けるコツだと考えます。
いわゆる兎眼、あかんべえ状態を改善する手術です。他院での美容手術や腫瘍切除などで眼瞼の皮膚が足りなくなった場合は植皮が必要なこともあります。瞼を支える靱帯や腱板がゆるんだ場合は、筋肉の引き締めだけでなく軟骨移植等が必要になることもあります。
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健康保険の対象となる「瘢痕拘縮形成術」は単なる醜状にとどまらず「運動制限を伴う」場合に限ると規定されています。
瞼の運動制限とは、瘢痕の引き攣れによって眼が開かない場合、閉じない場合に相当します。
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小さな傷痕や水疱瘡の痕、審美的な悩み(重瞼幅の左右差など)の調整は、美容的なものと見なされるため自費診療となります。
他院重瞼術直後の抜糸や修正は原則的にお断りしています。
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除皺術、まぶたの形の修正など美容的なものは 美容外科のページを参照してください。
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