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上眼瞼(上まぶた)のたるみ取り手術
〜 Upper Eyelid Reconstruction 〜

眼瞼下垂の手術の際に、両側とも皮膚を8ミリ幅で切除しています。本当は20ミリくらい切除したいところですが、男性ということもあり激変を好まれず、術後もこれで不都合はないとのことで追加切除は希望されませんでした。まだ傷が赤く切開線が目立ちますが、目頭の傷などは今後柔らかくなって目立たなくなります。
1回に切除する幅は10ミリ以内にとどめた方が、回復も早く変化も自然です。上眼瞼が改善したことで、手術していない下眼瞼の弛みも若干改善しています。


大江橋クリニックで行う上瞼のたるみ取り手術

眼瞼下垂の治療を希望しておいでになる方の中に、瞼が開けにくい原因の主体が皮膚のたるみである場合が少なくありません。こうした場合、眼瞼下垂の治療法である「眼瞼挙筋前転法」を行なうのではなく、皮膚を十分に切除することで上方視野が改善することがあります。
他のクリニックで眼瞼下垂の手術を受けたが、あまり改善しなかったと言う方の場合、眼瞼下垂そのものは治っているがたるみ取り手術が必要という診断をさせていただくことが多いです。

大江橋クリニックで開院以来積極的に行ってきた眼瞼下垂の治療については、以下の眼瞼下垂のページにまとめてあります。ご参照ください。

眼瞼下垂の特集ページへ

PC版眼瞼下垂の特集ページへ

瞼の皮膚は人体で一番薄い皮膚です。個人差はありますが、手術室のライトの下で透けて見えそうに薄くなっていることもあります。薄い皮膚は引っ張れば簡単に伸びます。
薄い革手袋が、あるいはおしゃれな革靴が、買ったときは細いのに使って手や足を何度も出し入れしていると、どんどん形が崩れてきた経験はありませんか?

瞼の皮膚の縦径(まつ毛の生え際から眉毛の生え際までを軽く引っ張って測った距離:右の写真参照)は、思春期頃は最大でも25ミリ程度の方がほとんどですが、30代の方では30ミリを超えてくることが多く、高齢者では40ミリを超える事も少なくありません。
数十年の間に、実に60%以上も伸びる事になります。

瞼のような真皮の薄い伸びた皮膚はレーザーなどで加熱してもあまり縮みません。というより、計測してはっきり分かるほど縮む熱エネルギーを皮膚に加えれば、火傷してしまい皮膚は瘢痕化することになります。瘢痕化した皮膚は硬くなり自然さが損なわれてくると思います。
※ サーマクール・アイなどの高周波治療器が引き締めに効果的と言われますが、当院での治療実績がないため判断は控えます。
手術しないで済むほどの効果が出るのであれば素晴らしいことですが、現時点では伸びた分だけ皮膚を切り取る事が最良の解決法ではないかと考えております。

多くの場合化粧をしなければ隠しにくい傷が残ります

インターネットで術後写真を検索してみる事をお勧めします。
多くの眉下切開の症例写真にはっきりとした傷痕が見て取れます。切開したラインがやや盛り上がったり赤い線として長期間残る方もいます。このラインは化粧でも隠しにくいものです。
たとえ非常にきれいに治ったとしても、白い線状の傷跡が残ってしまう人もいます。そうした傷跡を「きれいに治った傷跡」であると考え、それが普通だと思っている医師もいますから、「傷跡は目立たない」という説明にも注意が必要です。切開位置にもよりますが、眉の下にアンダーラインを引いたようにくっきりと残ってしまうこともあります。この傷はもう一度切除するか、あるいはアートメークなどで埋めない限り消えません。

もちろんこうした危険を避けるために様々な工夫をして、非常に綺麗な、ほぼ肉眼では見えないほどの傷に仕上げる医師もいます。
それでもあえて書きますが、眉下切開ではどうしても多少の不自然さが残ります。伸びた長さと切り取れる長さが一致しないので当然です。皮膚が伸びるのは二重のライン近くであり、そこをそのままにして硬く伸び縮みしない皮膚を切り取るので、後戻りも無視できません。

※ 傷痕は見えないほどきれいに治るから心配ない、と言われ他院で手術を受けた患者さんから相談を受けることがあります。

眉下のうぶ毛移行部がなくなりクッキリとします

眉の下のいわゆるアイホール部分の皮膚は、頬などに比べて毛深く、眉下には濃い産毛が生えていることもあります。男性ではそれが特に顕著で、眉の輪郭が辿れないほど眉下に黒い毛が生えていることもあります。
眉下で切ると、この移行部の毛の多い皮膚を切除してしまうので眉の下の線が一直線に揃ってくっきりとします。

女性であれば許容されるかもしれませんが、眉を剃りたてのように見えるので、男性の場合はかなり不自然に見えることがあります。

もう一つ大切なことは、眉の形には流行があるということです。細くなったり太くなったりだけでなく、眉尻を高く跳ね上げたり、短くしたり、顔写真を見るだけで撮影年代がわかるほど変化します。今は眉毛に隠れる位置の傷跡が、次の流行では隠せなくなるかもしれません。

縦に不自然な線が出ることがあります

眉下切開を勧める医師は、二重のラインで切ると睫毛の近くの薄い皮膚と眉側の分厚い皮膚をつなぎ合わせることになり、二重が分厚くなって不自然だと言います。しかし、眉下切開では今度は眉の直下の分厚い皮膚を切り捨てることになり、薄い瞼の皮膚を引っ張り上げて眉の近くに縫い付けることになります。
ここでも眉直下のぶ厚い皮膚と引き伸ばされた薄い瞼の皮膚を縫うことになり、縫合の際の力加減で薄い皮膚が斜めに引っ張られて伸び、目を開けた時と閉じた時でシワの出方が変わってしまうのです。
縫合する際にある程度調整は可能ですが、目を閉じた時に斜めの筋ができ非常に不自然に見えることがあります。目を開けている時には目立たないのでご本人は気づかないこともあるようです。逆に手術中縫合している時(通常目を閉じています)には綺麗だったのに、手術が終わって腫れが引いてみると目を開けた時引き攣れることもあります。

眉下切開はなぜ不自然か

切り取らなければならないほど薄くなって伸びた瞼の皮膚は、血管が浮いて赤みを帯びている事が多く、皮膚をたくさん切り取った人ほど瞼が全体的に赤くなりのっぺりとした印象になります。 睫毛に近い皮膚は薄くシワが寄っているため、引っ張って伸ばしてもきれいな二重のラインがでません。二重の感じが変わらないという医師もいますが、皮膚を引っ張る以上まぶたの感じはかなり変わります。眉下を引っ張って二重のラインを綺麗に整えることは難しいと思います。その難しさを、二重の部分は触っていないのでご本人の自然な形です、などと言って誤魔化してしまっているのではないでしょうか。
また全てがそうだとは言いませんが、目頭部分の改善が不十分になる可能性がかなりあります。目頭部分の皮膚をたくさん取ると、縫い合わせる時に不自然に凸凹することがあり(ドッグイヤーと言います)どうしても幅を狭くしたり、目頭部分の切開を避けたりします。そうするとせっかく手術したのに、目頭部分の弛みは取れず、瞼が目尻の方に引っ張られて不自然な形になってしまうケースも見られます。

自然な二重のラインとは

二重のラインは、眼瞼挙筋腱膜の端が皮膚まで伸び、筋肉が縮むとき皮膚を奥に引き込む事で生まれます。
従って、その位置を見つけ、そこから外れないように切開する事で自然な切開ラインが生まれます。

通常、この生まれつきの二重のラインは、眼輪筋の瞼板前部と眼窩部を分けるように走っていて、その上下で皮膚の厚さがやや異なり、色もよく見ると違っています。細い血管がラインに沿って走っていることもあり、人によっては白っぽい筋になっていたり、そのラインに平行して小さな毛穴が並んでいたりします。
また手術の際に瞼を開け閉めしてもらうと、二重になるべき位置が一番下がっていたり、そこが逆に折れていたりして見分けがつくことがあります。

すでに他院で重瞼手術を受けている場合にはわかりにくいことがありますが、日本人の場合、瞼の中央付近で計ると、眉を引き上げて皮膚を伸ばした時に睫毛の生え際から7ミリ程度のところに自然なラインがあることが多いです。
もちろん上瞼のまつ毛は3列くらいになってやや不揃いに生えていることが多いですし、まっつげの向きなども僅かの力の入れ方で変わってきますので、あくまで私の経験上7ミリ程度(6〜8ミリ程度のばらつきはあります)に決めることが多い、と申し上げておきます。重瞼ラインを広めにとりたい場合、9ミリ程度まで広めにとることは可能です。また奥二重、二重に見えたくないなどの理由で4ミリ程度に狭くとる人も稀にはいます。
※ 白人など違う人種の場合、より高い位置にある事が多いようですが、数値で示せる程経験がありません。

眉と眼の間が非常に狭い方もいます。男性に多いですが女性でも顔そのものが小さかったりして、眉と目の間が8ミリ程度しか離れていないこともあります。経験上この距離は日本人の場合平均12ミリくらいと思っています。たるみがある人はそれが15ミリから場合によっては2.5センチくらいまで間延びして眉が吊り上がっています。
一般的に若い人では眉と睫毛の間の皮膚が計測値23〜25ミリ程度であることが多いので、二重から下の皮膚を7ミリとすれば眉側の皮膚は17ミリ程度あれば十分ということになります。残りが切除してかまわない皮膚の量ということになりますが、皮膚は一度に切除しすぎないようにします。

とりすぎると修復が大変です

皮膚を一度に取りすぎると目がつぶれなくなり、いわゆる兎眼状態になりますが、他院で切り取られすぎたと言っておいでになる方の中には眉と睫毛の間の皮膚が10ミリ程度しか残っていない方もいました。これでは意識して眉を下げないと目が閉じないことになります。(目がつぶれなくなったと言ったら、植皮するか10年かけて皮膚を伸ばすしかないと言われたそうです)

皮膚を大量に切除するのではなく、脂肪や眼輪筋の裏側の組織を十分に切除した方が自然な結果が得られます。

皮膚だけを浅く取ることにして2センチ以上切除しても良い結果が得られることもありますが、通常は1回の切除幅は1センチ程度に止め、とり足りなければ期間を空けて再手術した方が不自然な変化がなく良いように思います。

通常の手術では皮膚とその下の眼輪筋を眼窩隔膜の上で切除します。眉側に多めに眼輪筋が残りますが、睫毛側はさらに取り足して瞼板前眼輪筋だけを少し残しておきます。

眼輪筋の切除量が瞼の腫れぼったい感じを左右します

睫毛側の皮膚を薄くすっきり仕上げた方がきれいなラインが長続きします。しかしあまり丹念に切除して皮下血管網や上眼瞼挙筋の断端まで完全に取ってしまうと、重瞼ラインがやや硬く人工的な形になりますし、眉側皮膚との厚さの差が目立つことになるので、再手術などで範根組織に置き換わっている場合を除き少し控えめにします。この辺りの呼吸というか、感覚で術後の感じがかなり左右されるので、経験を重ねて慣れるしかないかもしれません。

脂肪は出来るだけ温存します

比較的若い方や、いわゆる腫れぼったい目で、切開すると脂肪が溢れるようにはみ出てきてその下が見えなくなってしまうようなことがあります。その時は脂肪を減量して位置を整えるとともに、場合によっては真皮を少し削って薄くすることもあります。
それ以外はなるべく脂肪を元の位置に戻し、あるいは二重のラインの上に敷き込んで柔らかい感じを出すように努めています。

目尻側の処理が大切です

目頭側の位置は、二重の感じ(末広、平行など)を決定しますが、それ以上に目尻側の切開の長さは印象を変えます。

多くの美容外科では目尻に瘢痕が残るのを嫌って短い切開に止めるようです。このためすっきりと目が開くと眉尻の緊張が取れて眉が下がるのと同時に、目尻の皮膚が大きく弛んでしまいます。
通常の美容外科手術ではこれを解消することが難しいため、眉下切開(目尻の皮膚をたくさん取れる)に流行が移ったのが、眉下切開ブームの真相のようです。

形成外科では比較的よく行われる方法ですが、ラインの決め方はそれぞれの医師で異なり、大きく跳ね上げてみたりピンセットでつまんでみたりとさまざまです。私は睫毛側の切開ラインと眉側の切開ラインをそのまま素直に延長して、交わるところまでを切除しています。大抵の場合目尻から1センチ以上サイドにはみ出します。この線は傷跡になりますが、ほとんどの方では肉眼で見つけにくいくらいの微かな線で収まります。

自然な美しさを目指します

瞼の形は十人十色、その人の印象を決定づける大切な要素です。
人種によっても美しさの基準は違いますし、モデルや女優さん、一部の美容フリークと呼ばれるひとのように、美しさよりも個性的であることが何よりも大切である場合もあります。

eyes

しかし例えば上に並べた4つのイメージ写真のような目を見たとき、おそらく多くの日本人は、美しく魅力的ではあるとは思っても、この目になりたいとは思わないのではないでしょうか。
人種差ももちろんありますし、普通の社会生活を送っている私たちにとって、瞼の形にはいわゆる日本人らしい「自然な美しさ」が最も求められているように思います。

では、自然な美しさとはなんでしょうか。
大江橋クリニックでは、機能的に正常なバランスの取れた瞼が最も美しいのではないかと考えています。

黒目が大きい方がいいからと巨大なカラコンを入れたり、長大なまつ毛をつけたり、目の周囲を極楽鳥のような色に染め分けたりすると、確かに舞台化粧のように「美しくは見える」けれど、実生活でそれをしたら頑張っている感じが邪魔をしてとても「美人」には見えませんよね。

美人は何もしなくても綺麗です

その「きれい」な感じは、各パーツの大きさと位置のバランスが取れて、どのパーツも主張しすぎることなくお互いを引き立てているからこそ感じられます。
大江橋クリニックの瞼の手術は、標準的な、オーソドックスな、バランスの良い瞼をめざしています。

そうは言っても、実際には私たちのほとんど全ては、理想的な目と比べて何かが違っています。
私たちの「きれい」を阻害するものはたくさんあります。眼窩脂肪が多かったり、皮膚が伸びていたり、イボ、できものなどがあったり、目の周りの黒子が大きくなったりします。加齢によるシワの出方も年齢を重ねると徐々に気になってきます。

こうした悩みの多くは、美容外科や形成外科で対応できますし、改善のための技術も進んでいます。
その代表が眼瞼下垂症です。大江橋クリニックではまずきちんと診断し、症状があればそれに基づいて治療計画を立てます。ところが通常「病気ではない」患者さんを対象とすることが多い美容外科では「診断」がはっきりしないまま患者さんの希望に沿って、本来病気を治療するはずの手術が安易に行われてしまうことがあります。

病因や病態を見極めることなく気軽に「瞼を上げる手術」を行うことは、時には危険を伴います。手術をしても意味がなかったり、してはいけない場合もあります。

一般の美容外科医による眼瞼下垂症手術を否定するわけではありません。技術的に非常に綺麗な手術をする医師もいます。しかし、一般的に診断の部分が甘いため綺麗な結果が出ない場合も多いという印象を持っています。