形成外科が担当する治療
額のできもの・ほくろ
額のほくろ(色素細胞性母斑)
生まれつきあることもあれば(先天性色素性母斑)大人になってから発生することもあります。
盛り上がって目立ってきてから受診されることが多いのですが、盛り上がったものは原則的に手術で切除します。(レーザーは小さなほくろに向いています。大きなものはとりきれずに再発することがあり、傷痕も目立つことがあるのでお勧めしません。)
治療上大切な事は以下の通りです。
- 額の皮膚はやや硬いので、丸くくり抜くより木の葉型に切った方が縫いやすいことがあります
- 額のしわの方向(横方向)の切開にすると将来非常に目立ちにくい傷痕になります
- レーザーや電気メスで熱を加えた傷は治りが遅くケロイドになりやすい傾向があります
- 悪性が疑われる場合は確実に切除する必要があります
- 基本的には全体を切除して組織検査を行なうべきであると考えます
イボや脂漏性角化症など皮膚のできもの
基本的には皮膚のできものは形なりに全切除して病理組織検査を行ないます。
稗粒腫(1ミリ程度の小さな白いできもの)などは診察室で小さく切開して処置することがあります。
小さなイボや性状のはっきりした脂漏性角化症などは、冷凍凝固法でとることもあります。
脂漏性角化症
シミのように大きく広がることもありますが、イボ状に褐色の硬いできものとして多発することがあります。時には「皮角」として硬く突き出してくることもあります。
脂腺増殖症
白く小さなつぶつぶが集団で皮膚に埋まったように見えます。多発することがあります。皮脂腺の集団で比較的深いところにあるので、レーザーで蒸散すると以外に大きな穴があきます。切除の方がきれいに取れます。
稗粒腫
白く小さなつぶが一つずつ個別に皮膚に埋まったように見えます。多発することがあります。レーザーで蒸散することもできますが、小さいものは小切開を加えて押し出すときれいに取れます。
汗管腫
白っぽく形の不整形な小さなできもの多発し、一部は繋がって地図状に見えます。通常は眼の回りに多発しますが、額やこめかみにも多発することがあります。レーザーで蒸散することもできますが、深く削る必要があるため跡形になることが多く、数が多くて大変ですが一つずつ切除した方が綺麗に治ります。
その他特殊なもの
ニキビやヘルペスの水疱なども額に多発することがあります。この他にもいろいろな種類のできものがあり、皮膚科と連携して診断・治療を行なっています。
脂肪腫、表皮嚢腫など皮下のできもの
表皮嚢腫
毛穴がつまり排出されるべき皮脂などが皮下に溜まったものです。上皮性の袋に入っていますので、毛穴の周囲を切開して、くり抜き切除を行ないます。
赤みがあり痛みを伴うなど腫れてきたものは、いったん抗生剤などで内服治療を行ない、赤みが治まってから手術します。
類皮(皮様)嚢腫
生まれつきあるいわゆる「奇形腫」の一種で、中に皮膚の一部や毛、歯、骨などが入っていることもあります。薄い上皮性の袋に入っていますので、注意深くとれば完全にとりきることができます。額というより眉の周囲や眼の回りにあることが多く、骨膜に付着するなど深いことが多いので、手術には時間がかかります。
脂肪腫
額のできものとしては次の骨腫とともにポピュラーなものです。多くの場合、前頭筋の筋膜の下や骨膜の上など深いところにできるので、脂肪腫の割には触って硬いことが多く、骨腫と間違えることもあります。半球状に徐々に大きくなります。筋肉や大事な神経の下にあることも多く、手術には時間がかかります。
骨腫
額のできものとしてはポピュラーなものです。多くの場合、額の中央に硬く丸いこぶとして発育しますが、左右どちらかにずれてできることもあり、脂肪腫と区別しにくいこともあります。半球状に徐々に大きくなります。頭蓋骨腫瘍ですが、ノミで強くこじるとはがれるように取れるので、局所麻酔で手術することができます。手術には比較的時間がかかります。
その他特殊なもの
額には神経や血管など様々なものに由来する腫瘍ができることがあり、またまれには内蔵の悪性腫瘍が転移することもあります。代表的なものは見たり触ったりすることでほぼ診断がつきますが、分かりにくい場合はMRIなどの画像診断が必要となります。
治療上大切な事は以下の通りです。
- まず確実に診断をつけることが大切です
- 診察のみでは診察がつかない場合、画像診断を他の施設に依頼したり、治療自体を大きな病院に紹介することがあります。
- ありふれた腫瘍であれば手術法はほぼ一定しており、傷痕も綺麗に治りやすい場所です。