レーザー治療に携わるようになって30年以上が経過しました。
医師になって初めてレーザー機器を扱った当時と比べて、確かにレーザーが進歩したと感じるのは、
(1) 電源が安定し、大口径・高出力のパルスが1秒間に数ショットという速さで照射できるようになったこと、
(2) 電圧のわずかな変動で壊れていた高出力ダイオードレーザーが安定して実用に供されるようになったこと、
(3) 一つのレーザー源からフィルター等を使用して波長の異なるレーザーを導出できるようになったこと
(4) 1台の機器に複数波長のレーザーが搭載できるようになったこと、
何より
(5) レーザー機器が非常に小型化されたこと
でしょうか。
(6) ピコセカンドクラスのパルスレーザーが出てきたこと
も特筆すべきかもしれませんが、Qスイッチの改良でパルス幅が約10分の1になったものの、当初期待されたほどの劇的な進化ではなかったような気がします。
使いこなす技術の面では、皮膚面に照射する出力を抑えることにより
(1) レーザーで脱毛ができる
ようになり、更には
(2) ダウンタイムの少ない美容的照射法
が全国に広まり、また
(3) フラクショナルレーザーという概念が生まれた
ことが画期的でした。
(4) さまさまな照射法が標準化され、必ずしも知識の十分でない施術者でも比較的安全に照射できるようになった
ことも挙げておきましょう。
しかし、変わらないこともたくさんあります。
結局医療分野で行われているレーザー治療の仕組みは、特定の波長の光を生体に吸収させて特定の物質を加熱し、熱によって破壊変成した組織が回復するのを待 つ、という単純なものです。(熱によらないで光の衝撃波=機械的エネルギーで微小な個体を粉砕するという原理のピコセカンドレーザーは除く。)治療のコツは どの部分をどの程度加熱し、他の部分をいかに熱から防ぐか、ということにつきます。
人間の皮膚は非常にデリケートなので、設定を機械に任せていては適切な治療はできません。1ショットずつ、皮膚の反応を見ながらエネルギーを微調整する技 術こそが、良い結果を生む、という原理は変わりそうにありません。

医療広告ガイドラインに準拠したウェブサイトの適正化に向けての取組について
医業等に係るウェブサイトの調査・監視体制強化受託事業者であるデロイト トーマツ コンサルティング合同会社 パブリックセクター/医業等に係るウェブサイトの調査・監視体制強化事業担当から届いた「貴医療機関のウェブサイトに関する注意喚起について」という文書の別紙によるご指摘によれば、このページの記載は「自由診療のうち医薬品医療機器等法の承認又は認証を得た医薬品又は医療機器を用いる検査、手術その他の治療の方法に該当することを確認できない治療方法」であり、かつ「自由診療にかかる主なリスク、副作用等に関する事項についての情報提供」がないとのことです。
また未承認医薬品、医療機器を用いた治療の場合、又は認証を得た医療機器であっても当該効能・効果への承認がない適応外使用の場合は、「未承認医薬品等であること(承認医薬品等であっても適応外使用の場合には適応外使用である旨)」「入手経路等」「国内の承認医薬品等の有無」「諸外国における安全性等の情報」を明示する必要があるとのことです。
ご指摘を真摯に受け止め、大江橋クリ日記うで行っているレーザ治療の一部は保険適応はないものの保険診療と同一の方法で行う治療であることを明示し、リスクについての記述を追加するともに、承認外のレーザー機器を使用する治療についてはその旨を明示することとしました。適切な注意喚起をいただき、デロイトトーマツの担当者様に厚く御礼申し上げます。
アファーム 〜 Affirm 〜
1440nmの赤外線レーザーをCynosure社のCAPテクノロジーによって1照射あたり1200個のスポットに分けて肌に照射する、アンチエイジングに特化したレーザー機器です。紫外線によって光老化した皮膚を効率的に入れ替えるため、効果の範囲を深さ300μmに絞り込み、フラクセルのような痛みや長く残る赤みといった副作用を軽減させました。シワやたるみを減少させはりのある肌に戻します。当院ではほかのレーザーと組み合わせることでより効果を高める治療も行っています。





アファームのハンドピースには写真上左のようなチップを取り付けて使用しますが、チップの先端は右上写真のように細かい凸レンズを並べたようになっています。(左: 拡大写真)
この昆虫の複眼のような一つ一つの凸レンズが、皮膚の表面のやや下に焦点を結んでコラーゲンを加熱します。加熱変成したコラーゲンは壊れて新しく作られたコラーゲンに置き換わっていきますが、その間の破壊されなかったコラーゲンも温和な加熱によって分子の高次構造が変化し、その結びつき方が変わっていきます。
国内未承認機器
Affirm(アファーム)
について
Affirm(アファーム)を実際に治療に用いている医療施設は全国で数カ所(2ヶ所?)だけのようです。同等の機能を持つレーザー機器は現在のところ(国内だけでなく世界的にも)他にありません。
米国Cynosure社の製品ですが日本法人であるサイノシュアー株式会社を通じて輸入したものを使用しています。国内での承認機器ではありません。光老化で変性したコラーゲンを加熱により分解促進し、皮膚の再生を促すアンチエイジング機器です。フラクショナルレーザーの一種として国内外で一時は頻用されましたが、ハンドピースに取り付けるレンズや修理部品の供給停止によりほとんどの施設で使用を停止したようです。
大江橋クリニックでは、交換用レンズを豊富に所持しており治療を継続しています。構造上重大な事故は起こりにくく報告もありませんが、厚生労働省の指針に従い「なお情報が不足し、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります」と書いておくことにします。
なお未承認機器の使用に関しては下記のサイトを情報提供する事となっているため、リンクを設けておきます。
個人輸入において注意すべき医薬品等について
アファームは、同じようなフラクショナル・レーザーである「フラクセル」よりダウンタイムが少なく、痛くない、ということが右の図からわかります。アファーム照射による熱変成(コラーゲンが赤く染まっている部分)が表面から0..3ミリの深さまでに限局しているのに対し、フラクセル(1550nm)では深いところまで熱が及んでいます。紫外線による光老化などは、真皮の浅いところに起こるので、深い治療はそれほど効果的ではなく、痛みを増すだけなのです。
フラクショナルレーザーは深く入るほどよく効く、という考えで、深くまでエネルギーが到達する波長が選択される傾向にありますが、確立された根拠のあるものではありません、

※下の写真はサイノシュアー社の提供によるものです。Photoshopを使って凹凸を強調した画面を重ねてみました。
マウスカーソルを載せると、皺の状態がよくわかります。



治療費については美容治療の料金表を参照してください。
現在アファームの治療は新規受け入れを停止しています。ただし、今まで継続して来られた方、レーザー美容コースの中で追加のオプションとして希望される方には治療を行っています。追加治療は範囲により1〜3万円ていどで行っております。ご相談ください。