第2款 筋骨格系・四肢・体幹に分類される手術
※ 主に整形外科で行なわれる手術が多い項目です。通常大江橋クリニックの形成外科で行なわない手術もありますが、参考にして下さい。
- 筋肉内異物摘出術
- けがで刺さったものが傷の中で折れたような場合です。深く入り込んだ場合画像診断が必要なこともあり、そうした場合は専門施設をご紹介します。手術費用は10,000円程度です。
- 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術
- 皮下組織(皮下脂肪)より更に深く(筋膜〜筋肉内)にできた腫瘍を切り取る手術です。当院ではやや深いところにできた脂肪腫などを摘出する際に算定することが多いです。
筋肉や血管、神経などの腫瘍が疑われる場合は通常整形外科にご紹介する事になります。
深いところにあるためやや時間がかかりますが、切開はできるだけ小さく行なうので、術後の傷痕はできものの直径より小さくできることがあります。15,000円〜25,000円程度の手術です。
- 腱縫合術
- けがで切れた腱をつなぐ手術ですが、指以外はやや大掛かりとなりますので、専門施設をご紹介することにしています。指の腱をつなぐ手術は局所麻酔で行ない、7,000円〜25,000円程度です。
- 腱移行術
- 腱が骨についている位置を変えて、筋肉の動きを調整します。通常は整形外科を紹介しますが、症状と位置によっては当院で行なうこともあります。30,000円から50,000円程度の手術です。
- 骨移植術・軟骨移植術
- 当院では主に耳や鼻の手術の際に、採取した軟骨を、別の位置(反対側の耳など)に移植する際に算定することが多いです。肋軟骨を使う手術はあまり行ないませんし、骨の移植は現在のところ行なっていません。他人の骨の移植も当院では行ないません。手術費用はいずれの場合も35,000円程度です。
- ガングリオン摘出術
- ガングリオンは可能ならば穿刺・圧迫固定などの処置で小さくする方法を選びますが、大きなものや繰り返すものは手術を行ないます。基本的に関節近くの手術ですので、機能に影響を与えないよう慎重に行なう必要があり、少し時間がかかります。関節機能に影響を与えそうな深い部位の場合、整形外科をご紹介しています。10,000円程度の手術です。
- 断端形成術
- 指や手足が切断され、つなぐことができない場合に先を丸めてしまう手術です。当院で行なえるのは指などの小範囲のものに限ります。
現在では可能な限り再接合を試みますし、爪が一部でも残っているようならそのまま手術せずに治した方が結果が良いのであまり行ないません。10,000円〜20,000円程度の手術です。
- 切断四肢再接合術
- これは基本的に再接合を得意とする専門施設で行なうべき手術です。形成外科の専門分野ですが当院では行ないません。1カ所あたり150,000円から300,000円程度の手術です。
- 陥入爪手術
- 巻き爪の手術です。麻酔の注射をして巻き爪の両側を数ミリずつ切り取り、必要に応じて爪床爪母を形成したりフェノールという薬品で処理して、食い込む部分が生えないようにします。指1本あたり5,000円〜8,000円程度の手術です。
- 手根管解放手術
- 手首の部分で筋肉や腱を束ねている手根管という硬い組織が血管や神経を締め付け指がしびれたりする場合に行ないます。通常は整形外科で行なう手術ですが、症状がはっきりしており診断が確実なら、局所麻酔で行なうことは可能です。当院では積極的には行なわず専門施設をご紹介しています。15,000円程度です。
- 手掌・足底異物摘出術
- 麻酔をして切開し、異物を除去します。10,000円程度の手術です。
- 手掌屈筋腱縫合術
- けがに伴う場合行ないます。通常腱の断裂がありそうな深いけがの場合は専門施設に紹介しますが、部分的に切れていたり手術中に断裂を発見した場合は当院でつなぎます。25,000円程度の手術です。
- 指瘢痕拘縮手術
- やけどやけがなどで曲がった指を伸ばす手術です。足りない皮膚を移植する事もあります。1本あたり16,000円程度の手術です。
- デュプイトレン拘縮手術
- 小範囲の場合は局所麻酔で手術可能です。指2本以上の場合は時間的にも技術的にも専門施設で行なうべき手術です。25,000円から70,000円程度の手術です。
- 多指症手術・合指症手術
- 通常乳幼児の間に全身麻酔で行なう手術ですので、当院では行なっていません。
- 指癒着症手術
- 20,000円〜30,000円程度の手術です。2本の指がやけどなどでくっついてしまった場合に切り離します。骨の形成が必要な場合は専門施設をご紹介しています。
- 巨指症手術・屈指症手術・斜指症手術
- 通常乳幼児の間に全身麻酔で行なう手術ですので、当院では行なっていません。
第3款 神経系・頭蓋に分類される手術
※ 主に脳外科で行なわれる手術が多い項目です。通常大江橋クリニックの形成外科で行なわない手術もありますが、参考にして下さい。
- 頭蓋骨腫瘍摘出術
- 当院の外来手術で行なうのは、額の骨(前頭骨)にできるこぶ状の骨種をとる手術のみです。55,000円程度の手術です。(ごく小さいものは別の項目で計算する事もあります。)
- 神経縫合術
- 切れた神経をつなぎ合わせます。細いものは顕微鏡を用いる必要がありますし、太いものは大きなけがに伴う場合が多いので、当院ではめったに行なう事はありません。40,000円〜60,000円程度の手術です。
- 神経腫切除術
- 末梢神経にできたこぶを切除する手術です。痛みを伴う事が多く、手術をすると痛みがなくなります。あまり多くはありませんが、多発する事もあります。
個数によって費用が決められている珍しい手術です。1個の場合、できた場所によりますが20,000円〜30,000円程度です。
- レックリングハウゼン病偽神経腫切除術
- 無数にあることが多く、一度にできるだけ多数をとりたいと希望する患者さんが多いのですが、神経腫とは扱いが異なり、保険では何カ所手術しても一度の手術は1カ所扱いです。費用も安く設定されているので、時間がかかり個数が増えるほど、医療機関にとっては負担の大きい手術になります。
常識的には1回の手術で1カ所〜10カ所程度までではないかと考えます。7,000円〜15,000円程度の手術です。一度に多数を摘出する場合は出血も多くなるため、入院が必要となります。
- 神経捻除術
- 激しい痛みを伴うため、痛い部分の神経を取ってしまう手術です。取った部分には皮膚感覚の麻痺が残ります。15,000円〜20,000円程度の手術です。原因を確定するため専門施設にご紹介する事が多く、当院では原則として行ないません。
- 神経移行術
- 神経を別の神経につなぎ変える手術です。手足の手術などに伴って行なう事がありますが、当院では今のところ経験がありません。
- 神経移植術
- 切り取ってもあまり大きな影響のない神経(脚の皮膚感覚を支配する神経など)を、より重要な神経の損傷部分に移植します。
すぐには回復しませんが、数ヶ月以上たつと徐々に機能が回復します。顔面神経麻痺などの場合に行なう事があります。手術部位が複数になり、全身麻酔が必要となるため当院では行なっていません。60,000円程度の手術です。
第4款 眼に分類される手術
※ 主に眼科で行なわれる手術が多い項目です。大江橋クリニックで行なうのは、主に瞼の手術のみです。
通常大江橋クリニックの形成外科で積極的には行なわない手術はグレー表示しています。そうしたものは眼科をご紹介しています。
美容的な目的で行なう場合は「自費」での対応になることがあります。
※ 眼科手術にあっては「眼瞼」は眼球ではないその他の部位、と見なされ眼科医の興味を引かないためか、ご覧の通り手術料は非常に低く設定されています。
その事がこの分野で手術の技術を発展させる障害になっています。
- 瞼縁・瞼板縫合術
- けがなどで切れた瞼を縫い合わせます。5,000円程度の手術です。
- 麦粒腫切開術
- ものもらい、めばちこで腫れた瞼を切開して膿を出します。1,200円程度の手術です。
- 眼瞼膿瘍切開術
- 化膿した瞼を切開します。1,500円程度の手術です。
- 外眥切開術
- いわゆる目尻切開です。美容的なものではなく、癒着した傷跡の修正などの手術です。1,500円程度の手術です。
- 睫毛電気分解術
- 逆まつげなどの場合、睫毛を「永久脱毛」してなくしてしまいます。本数に関わらず、1,800円位の手術です。
- 兎眼矯正術(当院では簡単なもの以外、瘢痕拘縮形成術等で対応させていただきます)
- 瞼が閉じない症状を兎眼といい、これを閉じるようにする手術です。形成外科で行なうとすれば、原因にもよりますが、
上眼瞼を下げるために、眼瞼挙筋の後転、筋膜移植、植皮、瘢痕切除などを考慮するか、
下眼瞼を上げるために、靭帯の移動、瞼板の形成、軟骨移植、筋肉の移植や移行、眼輪筋の引き締めなどを考慮する事になります。
しかし、手術費用は15,000円程度です。おそらく40分程度の手術を想定しています。瞼板の切除縫合か上下眼瞼を縫い合わせてしまうか、いずれにしても単純な手術しか想定されていません。
当院では、兎眼の原因を特定し、それが瘢痕によるものであれば「瘢痕拘縮形成術」等で対応します。
- マイボーム腺梗塞摘出術
- 次の霰粒腫と基本的には同じものですが、切開して内容を掻きだすような手術です。1,000円程度です。
- 霰粒腫摘出術
★ お電話でのお問い合わせが大変多いので特に記しますが、当院では霰粒腫の手術は行なっておりません ★
灰色表示の項目は、当院では行なっていない項目です。誤解ないようにお願いいたします。 - 瞼板にできた硬いしこりを摘出する手術です。1,800円程度です。
※ 眼科で切開すると重瞼ラインが乱れるが形成外科だと二重にできるといった風説が広まっているようです。
瞼板機能に影響する手術ですので、基本的には眼科で行なうべきものと考えます。
- 瞼板切除術
- 巨大霰粒腫摘出術という別名がある通り、霰粒腫を瞼板ごと摘出してしまう手術です。5,000円程度の手術です。
- 眼瞼内反症手術(当院では通常保険適用外・自費手術とさせていただきます)
- いわゆる逆まつげの手術です。これも手術費用が非常に低く抑えられているため、丁寧な手術を行なうと完全に赤字になる手術の代表です。
丁寧に行なえば、切開して皮膚と眼輪筋の一部を切除し、睫毛の方向を矯正して外を向かせるためには1時間以上はかかると思います。難易度は眼瞼下垂症とそんなに変わりませんが、手術料は5,000円程度に設定されています。10〜15分程度の手術に付けられる値段です。
下瞼の逆まつげは手術すると下瞼も二重になる、と聞かされた人もいると思います。それは、埋没法のように1〜2カ所を糸で縛るだけしか想定されていないからです。
当初採算を度外視して時間のかかる切開手術を行なっていましたが、健康保険制度のもとで想定外の術式を行なうことは、たとえ患者さんのためであっても認められないことが多く(この手術を「保険でできる二重の手術」として悪用し美容手術を行なう医療機関があるためでしょうか)かといって不十分な結果に終わることが明白な、糸で縛るだけの手術を行なうこともためらわれるので、現在では切開を必要とする内反症手術はすべて自費で行なうこととしております。ご了承下さい。
- 眼瞼外反症手術(当院では簡単なもの以外、瘢痕拘縮形成術等で対応させていただきます)
- 8,500円程度の手術です。これも健康保険では瞼板の切除縫縮程度しか想定されていないと思います。実際には皮膚・眼輪筋の引き締め、眼瞼嚢筋の前転、場合によっては耳介軟骨移植などが必要となる事があり、眼瞼下垂症と同程度の難易度があります。
- 眼瞼下垂症手術(当院では機能障害の見られない場合は自費で対応させていただきます)
- 挙筋前転法で23,000円程度、筋膜移植法で43,000円程度の手術です。瞼の手術の中ではましな方ですが、技術的な難易度を反映しているとは思えません。このため、腱膜のタッキングのような簡便な方法がはやるのだと思います。
もっとも、眼瞼挙筋に障害のない「腱膜性」眼瞼下垂はタッキングで十分治るので、それでよいのかもしれません。
- 結膜嚢形成手術
- けがや腫瘍摘出などにより眼瞼の欠損を再建する手術です。部分的なもので8,000円程度、皮膚と結膜を形成する手術が30,000円程度、義眼床などを皮膚移植等で作り全部形成する場合が40,000円程度です。当院では今のところ全部形成は行なっていません。
- 内眥形成術
- 内眼角部の再建を行なうもので、美容的な目頭切開などは含まれません。内眥は涙の流出時経路になっており、複雑な構造をしています。しかし、涙小管部分の形成は別に定められているため、ここでは主に鋭角の形のよい目頭を形成する手術と思われます。
この手術は難易度が高いため、40,000円程度と決められています。
- 眼窩内異物除去術
- この手術は施設基準が定められており、当院で行なった場合は保険適応となりません。
以前は表在性のものに関しては保険適用が認められていたのですが、眼科の専門施設以外では保険での手術ができなくなりました。
第5款 耳鼻咽喉に分類される手術
※ 主に耳鼻科で行なわれる手術が多い項目です。通常大江橋クリニックの形成外科で行なわない手術もありますが、参考にして下さい。
- 耳介血腫開窓術
- 打撲などで耳の軟骨の間に血が溜まり、大きく膨れてくることがあります。圧迫したぐらいでは治まらず痛みを伴うことが多く、切開して内容を出す必要があります。
単に切開しただけでは傷が塞がるとまた血が溜まってくるため、傷口を広げて塞がらないようにする手術です、1,200円ぐらいの手術です。大江橋クリニックでは通常行なっていません。
- 先天性耳瘻管摘出術
- 耳の前部や後部に小さな穴があり、トンネル状に奥に続いていることがあります。時々腫れて痛み、膿が出ます。
トンネルの奥まで追いかけてトンネルの壁ごと切除します。10,000円ぐらいの手術です。中学生以上であれば、局所麻酔でできます。
- 副耳切除術
- 耳の前方や頬、顎などに、小さなこぶのように余分な軟骨がとびだし手いることがあります。皮膚科領域では軟骨母斑とも呼びます。乳児のうちに切除されていることが多いのですが、一部残っていたり全く未処置の方もいます。
皮膚のできものをとる時と同じように手術します。10,000円ぐらいの手術です。
- 耳介腫瘍摘出術
- 耳にはいろいろなできものができますが、耳の形の特殊性から、切り取ると軟骨が変形したり皮膚を縫い寄せられない場合があります。このためこの項目が設定されており、手術料は20,000円程度です。
ただし、実際上はこの項目で算定した場合、ほとんどすべて保険者(支払側)に査定され、支払を拒否されます。(皮膚・皮下腫瘍に付け替えて算定される。)軟骨腫瘍に限定された項目とされているようです。
- 耳介形成手術(立ち耳等は美容扱いとなるため自費で対応されていただきます)
- 耳の形を修正して正常に近づける手術です。軟骨を形成する場合で58,000円程度、耳たぶなど軟骨を切らないで行なえる手術で40,000円程度です。
ただし、厚生労働省通知による算定条件として「耳輪埋没症、耳垂裂等」とあり、立ち耳や柔道耳、スタール耳、折れ耳などその他の耳介軟骨の異常に対してこの手術が算定できるかはすべて「等」をどのように解釈するかにかかっています。
今までのところ、スタール耳、柔道耳などで保険が通った例がありますが、近年ますます適用が厳しく制限される傾向にあり、おそらく耳輪埋没症、耳垂裂(先天性のもの)以外は保険適用できないと考えた方が良さそうです。
- 小耳症手術
- 耳が正常より小さい場合を小耳症といい、程度も様々なので、それにあわせて様々な手術法があります。
健康保険では、肋軟骨で耳介フレームを作成することを想定したと思われる「軟骨移植による耳介形成手術」(約150,000円の手術)と、「耳介挙上」(耳介フレームを移植した後、頭に貼り付いたようになっている耳を外に突き出すように起こす手術)(約30,000円程度)の二つしか分類がないため、その他のいろいろな手術は保険ではできないと解釈する他ありません。
- 変形外鼻手術
- 鼻の形を治す手術で40,000円程度ですが、「機能回復を目的として(要するに呼吸を楽にするため)」行なう以外は保険の対象となりません。従って当院で行なう手術はすべて自費扱いとなります。
第6款 顔面・口腔・頸部に分類される手術
※ 主に耳鼻科で行なわれる手術が多い項目です。通常大江橋クリニックの形成外科で行なわない手術もありますが、参考にして下さい。
※ 口唇・口蓋裂形成手術は形成外科の重要な分野ですが、通常小児期に全身麻酔で行なう手術であり、入院設備が必要なため当院では行なっていません。局所麻酔で行なえる二時修正は可能です。
- 頬粘膜腫瘍摘出術
- 文字通り口の中にできた腫瘍の切除です。通常は口腔外科が行ないます。悪性が疑われる場合は専門施設を紹介します。15,000円程度の手術です。
- 舌腫瘍摘出術
- 比較的多い「粘液嚢胞」は5,000円程度、その他の腫瘍は10,000円程度です。切除後に再建が必要な大きなものや悪性が疑われるものは専門施設を紹介します。
- 舌繋瘢痕性短縮矯正術
- 口の中の傷で舌が短くなり、口から突き出せない症状に行ないます。やや時間がかかるため局所麻酔では苦痛な場合もあり、行なえるかどうかは症状の程度によります。9,000円程度の手術です。
- 頬・口唇・舌小帯形成手術
- 唇と歯茎、舌と口腔底などは「小帯」と呼ばれる襞で繋がっています。これを切り離して長くしたり、逆に襞を作ったりします。1,500円ぐらいなので簡単な手術が想定されています。
- 口唇腫瘍摘出術
- 比較的多い「粘液嚢胞」は3,000円程度、その他の腫瘍は10,000円程度です。粘液嚢胞と紛らわしい「静脈湖」と呼ばれる血管腫は、これで算定するか「粘膜下血管腫摘出術」で算定するか難しいところですが、実際上はほとんど同じくらいの費用です。
- 頬腫瘍摘出術
- 比較的多い「粘液嚢胞」は3,000円程度、その他の腫瘍は10,000円程度です。粘膜腫瘍、皮膚・皮下腫瘍は別項目のため、主に筋肉内の腫瘍と解釈されます。
- 口唇裂形成手術
- 当院で行なえるのは、局所麻酔で可能な大人の二時修正です。30,000円から50,000円程度になります。
- がま腫切開術・摘出術
- 舌下腺(唾液腺)で作られた唾液が排出できなくなり、唾液をためた袋状の病変が下の底できたものです。切開するだけで治ることもあります。2,500円程度の小手術です。袋をとってしまう摘出術は15,000円程度です。口の中の手術ですのでやや苦痛を伴います。大きなものは専門施設をご紹介します。
第7款 胸部に分類される手術
※ 主に胸部外科、乳腺外科で行なわれる手術が多い項目です。乳房再建術や漏斗胸手術のように形成外科の守備範囲ですが通常全身麻酔の手術となり大江橋クリニックで行なわない手術は載せていません。
- 乳腺腫瘍摘出術
- 乳房にできたものは悪性の可能性を考え専門施設をご紹介します。10,000円から20,000円程度の手術です。
腋の下などにできる「副乳」は乳腺腫瘍だと思うのですが、この項目で請求すると査定され支払い拒否される場合があります。そうした場合は皮下腫瘍などに付け替え査定されます。おかしなことですが、保険制度の不備です。
- 陥没乳頭形成術
- 25,000円程度の手術です。授乳障害がある場合のみ保険が認められますので、授乳の可能性のない女性には保険が効きません。手術法は、乳頭を引き出して頸部を引き締める単純なものから、Z形成を数カ所に行ない、更には真皮弁を複数起こして形成するなど複雑なものまで多数ありますが、すべて同じ費用となり、これもかなり不合理な決まりです。
- 再建乳房乳頭形成術
- 25,000円程度の手術です。乳頭部分は乳房の皮膚の一部を使って盛り上げ、乳輪部分は色の濃い皮膚を移植することが多いですが、反対側の乳頭の一部を移植したりすることもあります。移植を併用した場合は、植皮術の費用などが加算されますので、手術料はこれより高くなります。
第8款 心・脈管に分類される手術
※ 主に心臓血管外科で行なわれる手術が多い項目です。大江橋クリニックの形成外科で行なわない手術は原則として載せていません。
- 下肢静脈瘤手術
- 静脈瘤の部分切除が「下肢以外」とされたため、大掛かりな手術以外は保険適応がなくなりました。そのかわり、血管内レーザー治療が保険適応になったので、当院ではレーザー治療の専門施設にご紹介しています。表在性のものは皮膚表面からのレーザー照射である程度改善することができます。
- 静脈瘤切除術(下肢以外)
- 皮膚のできものをとるのと同程度の手術です。10,000円程度です。
- リンパ管腫摘出術
- 局所麻酔で行なう範囲の小さなものに限ります。手術費用は30,000円程度です。
- リンパ節摘出術
- 費用は数千円で済みますが、リンパ節は深いことが多く、時間がかかり麻酔の量も多くなることがあります。
リンパ節の腫瘍を疑う場合は、摘出してすぐに検査する必要があり、通常検査施設を備えた病院で行なうべきです。当院で行なう場合は、リンパ節結核を疑ったり、そもそもリンパ節のできものであるかどうかを確認する目的で手術します。
- リンパ節膿瘍切開術
- リンパ腺が腫れた場合、普通はまず抗生剤の内服を始めてもらいますから、切開することはまれです。
第9款 腹部に分類される手術
※ 主に外科で行なわれる手術が多い項目です。大江橋クリニックの形成外科で行なわない手術は載せていません。
- 腹壁腫瘍摘出術
- 腹部のできものは、皮下組織〜脂肪層にできた場合皮下腫瘍、脂肪層の下、筋膜などにできた場合軟部腫瘍といいます。
腹壁腫瘍はその更に下、筋肉内〜腹膜に及ぶものですから、通常は局所麻酔では難しく、診断を含め専門施設をご紹介する場合が多いです。しかし、手術料自体は、形成手術を必要とするものでも数万円程度です。
- 臍ヘルニア手術
- 腹壁のヘルニア手術の中では、臍ヘルニアの軽度のものに限り、局所麻酔で行なうことがあります。でべそ、の訴えで受診した方の中に、臍ヘルニアの症状をお持ちの方が時々います。
手術料は15,000円程度です。
ヘルニアのないでべそ(臍突出症)は健康保険の対象ではなく自費手術になります。
- 毛巣嚢・毛巣瘻・毛巣洞手術
- 臀部のできもののうち、毛が皮膚の中に埋もれて化膿したり、それが繋がってトンネル状になったものを切開する手術です。15,000円程度の手術です。
似たような症状で、非常に軟治性のものに「慢性膿皮症」があります。これは完全に摘出しないと完治せず、大掛かりな手術になるので通常は入院して行ないます。当院では行なっていません。
第10款 尿路系・副腎に分類される手術
※ 主に泌尿器科で行なわれる手術が多い項目です。大江橋クリニックの形成外科ではこの項目の手術は行なったことがありません。
第11款 男子性器に分類される手術
※ 主に泌尿器科で行なわれる手術が多い項目です。大江橋クリニックの形成外科で行なったことがない手術は載せていません。
- 陰茎尖圭コンジローム切除術
- 項目としては残っていますが、現在では液体窒素による凍結か、塗り薬をお渡しして自宅で治療していただくのが普通です。麻酔の注射をして切除する治療はしたことがありません。
- 包茎手術
- できないことはないのですが、積極的にはお受けしていません。いわゆる「仮性」包茎は手術する必要のないものですし、重症のものは癒着が強いこともあるので、泌尿器科でされることをお勧めします。
健康保険適応になる症状であれば、通常10,000円以下でおさまります。高額な自費治療をする必要はありません。
第12款 女子性器に分類される手術
※ 主に婦人科で行なわれる手術が多い項目です。大江橋クリニックの形成外科で行なったことがない手術は載せていません。
- バルトリン腺膿瘍切開術
- 陰部のできものが腫れて痛むと受診される方が多いです。局所麻酔で切開します。3,000円くらいの処置になります。診察室で行なうこともあります。
- バルトリン腺嚢胞腫瘍摘出術
- 単なる切開ではなく、袋になった部分を切り取り、再発しにくいように出口を作ります。10,000円ぐらいの手術です。
- 女子外性器腫瘍摘出術
- 形成外科で扱うものは浅いできものが多く、この項目で算定するか皮膚・皮下腫瘍で算定するかは症状によります。通常10,000円以下の手術です。
第13款 脳死臓器提供管理料
※ 大江橋クリニックの形成外科で行なうことはありません。
レーザー治療
主にレーザー室で行なうものです
※ 皮膚レーザー照射療法は、最初「レーザー手術」として手術の項目で扱われていたものが、機器の普及に伴い処置に移されました。いろいろと規定が多く、また全く同一条件の照射でも「薬事法」に基づく承認をとったメーカーの機器でないと保険適用が認められないので、新しい機能を備えた新型機器の使用が制限されています。
※ 色素レーザーとQスイッチ付きレーザーの治療費の差については合理的な説明ができません。また規則の多くは医学的な理由ではなく経済的な目的で定められているように思われます。
- 皮膚レーザー照射療法:色素レーザー照射療法
- ※ 当院では赤あざに対するレーザー治療は自費で行っています。(美容外科参照)
大江橋クリニックで導入している色素レーザーは現在のところ保険適応がありません。色素レーザー治療は全て自費になります。
保険適応のあるレーザー機器を導入する予定はありません。保険治療で定められたいろいろな制限を守って治療を行うことが必ずしも患者さんの治療にプラスになると思えないためです。大江橋クリニックのレーザー治療費は保険の治療費(10割分、患者さんの負担はその3割)と比べてもそれほど高くありません。むしろ、保険の制限にとらわれず治療法をいろいろと工夫できる利点の方が大きいと思います。よろしくご理解をお願いします。
他院で保険治療を行う場合、自己負担ベースで面積により6,500円程度から32,000円程度まで範囲が増えるごとに1,500円程度ずつ高くなる仕組みです。3歳未満はプラス6,000円の乳幼児加算が付きます。
病名は「単純性血管腫」「苺状血管腫」「毛細血管拡張症」と決められています。他の赤あざや血管腫は保険適用が認められません。
治療開始からおおむね3ヶ月(実際は3ヶ月プラス1日以上)経過するまでは、次の治療を行なっても保険の治療費を算定できません。(無料で行なうなら可能なようです。)これを一連の治療といいます。
一連の治療が終了した場合、次の一連の治療(2回目の治療)を行なうことは可能です。
- 皮膚レーザー照射療法:Qスイッチ付きレーザー療法
- 大江橋クリニックでは、太田母斑・(省範囲の)異所性蒙古斑にかぎりQスイッチ式ルビーレーザー治療を行っています。
保険治療では、面積により治療費が変わり最小範囲(10円硬貨よりやや大きい程度)で6,000円程度、段階的に高くなり、はがき半分以下程度の面積で頭打ちになります(12,000円程度。)3歳未満は乳幼児加算6,000円です。こちらは特に大きい面積の場合色素レーザーに比べて非常に低料金に設定されています。治療に1時間以上かかるような広範囲の場合も、面積に関わらず1回と算定されます。
Qスイッチ付きルビーレーザー、Qスイッチ付きアレキサンドライトレーザーと、(Qスイッチではない)ルビーレーザーで治療を行なった場合のみ認められます。
つまり、Qスイッチ付きヤグレーザーや(Qスイッチのつかない)アレキサンドライトレーザーは対象外です。
頭、手足、背中、腹部をそれぞれ1部位として計算します。(背中に2カ所あっても1回ですが、背中と脚にひとつづつあれば2回と数えます。)違う病名のアザが(重複せず)複数あれば病名ごとに算定します。
病名は「太田母斑」「異所性蒙古斑」「外傷性色素沈着症」「扁平母斑」等です。実際には「等」は無視されます。Qスイッチアレキサンドライトは「扁平母斑」には保険が効きません。
扁平母斑では、(Qスイッチ)ルビーレーザーに限り、初回治療の後「再発した」場合は、もう1回だけ治療を行なえます。その他のアザの場合は、初回治療を含めて5回までと定められています。
治療開始からおおむね3ヶ月(実際は3ヶ月プラス1日以上)経過するまでは、次の治療を行なっても保険の治療費を算定できません。(無料で行なうなら可能なようです。)これを一連の治療といいます。
一連の治療が終了した場合、次の一連の治療(2回目の治療)を行なうことは可能です。
ここで問題となるのは、「一連の治療とは、所期の目的を達成するまでの治療をいい、おおむね3ヶ月にわたって行なわれるものとする」という訳の分からない規定です。所期の目的が「完全消失」であるなら、消えるまで何回レーザー照射を繰り返してもその治療は「一連」のうちに含まれることになりますが、「ちょっと薄くなる」ことを所期の目的とした場合なら、3ヶ月経った次の治療は「別の一連の治療」になります。
こうした曖昧な規定があるために、保険で治療を行なう場合、この治療費は「保険者」が支払ってくれるのか、支払を拒否されるのかが事前には分かりません。(治療後数ヶ月経ってから支払を拒否された場合、他の患者さんの全く別の治療費と相殺して差し引かれるという理不尽なことが起こります)
こうした事情で、大江橋クリニックでは、何度も繰り返す必要のある治療に関しては自費治療を原則としています。ご了承をお願いいたします。
診察室での処置
主に診察室のベッドなどで行なうものです
※ 費用のめやすには薬代や診察料は含まれません。
最初に手術の項目にあるが通常診察室で行なうものを説明します。
主に診察室のベッドなどで行なう「手術」
- 創傷処理
- 外傷の縫合をします。通常、局所麻酔が必要です。傷の大きさ、場所、程度によって治療費が変わります。通常2,000円〜10,000円程度です。長い傷の場合は手術室で行なうこともあります。
- 皮膚切開術
- 化膿した部分などをメスの先などで切開します。小さい場合麻酔せずに行なう事もあります。大きさや数によって治療費が変わりますが、通常、3割負担で〜2,000円程度です。
- 爪甲除去術・爪甲除去
- 爪甲除去術はいわゆる巻き爪などの際に麻酔をして爪の一部を切り取ったり抜いたりする手術です。費用は2,000円程度です。
麻酔をしない場合は処置となります。費用は数百円です。いずれも診察室で行なえます。
- ひょう疽手術
- 爪周囲炎、感染性爪囲炎などの場合に切開して膿を出したりします。3,000円程度の手術になります。
- 皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術
- 大げさな名前がついていますが、できものを液体窒素で凍らせてとる方法です。診察室で行なえます。通常はとりきれるまで何回か繰り返す必要があります。費用は初回4,000円〜15,000円程度、大きなもの、悪性のものほど費用が高くなります。
主に診察室のベッドなどで行なう「処置」
- 創傷処置
- 傷の処置で縫合を伴わない場合です。術後のガーゼ交換なども含まれます。普通の自己負担額は150円くらいですが、処置を行なうと外来管理加算を算定しない決まりのため、自己負担額は処置してもしなくても20円〜30円程度しか変わりません。非常に不合理な規定です。
- 熱傷処置
- やけどの処置です。400円程度〜千数百円程度です。深いやけどの場合処置の材料費がかかることがあります。皮膚科医と一緒にやる事が多い処置です。
- 絆創膏固定術
- 足首のねんざや膝靱帯損傷などに行ないます。本来は整形外科的な処置ですが、テーピングをすると痛みが軽減し楽になるため、当院でも行なうことがあります。
他にもテーピングをすると楽になる症状は多々ありますが保険適応がありません。自費治療としてテーピングを行なうことは可能です。
- 穿刺排膿後薬液注入
- 150円ほどの処置ですが、他の処置に含めてしまうことが多いです。特に請求していません。
- ドレナージ
- 傷にチューブなどを留置して血や体液を抜く処置です。75円程度です。
- 皮膚科軟膏処置
- 主に皮膚科で行ないますが、形成外科で行なうこともある処置です。160円〜800円程度。使用した軟膏の薬代は別です。小範囲の場合は診察料に含まれます。
- 皮膚科光線療法:中波紫外線療法
- 当院では皮膚科で「ナローバンドUVB療法」を行なっています。時間、回数、場所に関係なく1回1,000円程度です。
- 皮膚レーザー照射療法
- 処置の項目ですが、レーザー室で行ないますので、レーザー治療の項を参照してください
- いぼ焼灼法
- 当院では主に次の冷凍凝固法を行なっているため、焼灼法は行ないません。
- いぼ冷凍凝固法
- 液体窒素でイボを凍らせます。10日〜2週間に1回程度通院していただき、処置を繰り返します。皮膚科で行なう場合もあります。数百円程度です。
- イオントフォレーゼ
- 他の療法が無効なものに限り、と規定されていますので、他の薬や治療と併用することはできません。660円。
尋常性白斑の場合は4センチ四方ごと、汗疱状白癬、慢性湿疹、尋常性痤瘡、慢性皮膚炎、稽留性化膿性肢端皮膚炎、多汗症、頑癬の場合は1回ごとの算定です。当院では他の治療法を優先して行なっており、すべて無効という患者さんはほとんどないため、保険でのイオン導入は通常行なっていません。
- 軟属腫摘除
- 400円から1,000円程度の処置です。数が多い場合は苦痛があるため、麻酔シールを貼って行なうことがあります。皮膚科で行なうことが多い処置です。
- 面皰圧出法
- いわゆるニキビ処置です。ニキビの毛穴に穴をあけて内容を押し出します。150円ほどの処置です。
- 稗粒腫摘出
- いわゆる白ニキビを押し出す処置です。注射針などで穴をあけて内容を押し出します。10個以下とそれ以上に処置代が分かれていますが、いずれも数百円ほどの処置です。
- 鶏眼・胼胝(ベンチ)処置
- 魚の目やたこを削ります。イボ処置と一緒に行なう事もあります。月に2回に限り保険が効きます。500円ほどの処置です。
主に形成外科で行ないますが、皮膚科で行なう場合もあります。イボ処置に伴うものでは、処置料をいただかないこともありますが、これは保険適用できないけれど処置が必要と判断した場合です。
- 粘(滑)液嚢穿刺注入
- 片側につき250円ほどの処置です。
- ガングリオン穿刺術
- 250円ほどの処置です。ガングリオンに注射針を刺して注射器で内容のゼリー状液体を抜きます。
- 介達牽引・矯正固定
- 当院では主にテープなどによる介達牽引を行ないます。副子(添え木)などによる固定も関節を安定させるためなどに行なう事があります。100円ぐらいの処置です。
- 低出力レーザー照射
- 疼痛緩和のために行なう処置ですが、当院のレーザーはすべて高出力の装置であるため保険適応がありません。しかし、自費であれば行なうことはできます。その場合レーザー室での処置になります。