レーザーリミックスの効果に、年齢は関係ありません。実際の照射にあたっては、医師が当日のお肌の状態を診察し、レーザーの種類や順序、エネルギーの強さや照射方などを細かく設定します。単に「強弱」を切り替えるだけでなく、一人一人違う治療を行なっています。
ある患者さんは、「この年になると、何事も衰えて行く事ばかりで気が滅入るのに、肌の張りやつやは逆にどんどん若返って行くようで、この治療を続けてよかった。」とおっしゃってくださいました。
また別の患者さんは、治療開始後半年くらいたってから初診時に撮った写真をご覧になり、「私は半年前、こんなぶつぶつの顔で街を歩いていたんですね。」とおっしゃいました。
毎回同じみたいだけど、とお感じの方もいることでしょうが、それはあなた専用のメニューだからであって、他の人と同じだとは限りません。
基本的には、肌全体に温熱刺激を加えるようなパルス幅が短くエネルギーも弱い、痛くない照射から始め、より深く、より大きな細胞集団と基質(毛、皮脂腺、血管、コラーゲン、水分)に狙いを移し、さらに引き締め効果と美白効果を狙ったやや刺激の強い照射を行う方向で、プログラムを構成します。
肌の状態によっては非常に短時間のパルスでピークエネルギーの強い光を、小さなスポットで照射したり、脱毛レーザーのように広く深く細胞集団を変性させるような大きなスポットを途中に挟むこともあります。
一人一人にあった方法を適切に判断し、組み合わせて効率的に治療を進めるのが医師の役割だと考えています。
複合レーザー治療は美容医療の非常に優れた武器ですが、使い方を誤れば肌に傷をつけてしまいます。機種の違いより、エネルギーを肌に浸透させる照射技術の方が大切だと思っています。同じ治療を全員に機械的にオススメすることはできません。
例えば元々10代〜20代の若い方々にご満足いただくために開発されたメニューであるお肌デトックスで行なっているレーザー照射は、このコースを選ばれる方の多くがニキビの赤い毛穴を気にされていることから、主に赤みと詰まった毛穴をターゲットにしたリミックス照射で構成することが多いのですが、タルミが気になる、もう少し上の年代の方には、毛細血管やメラニン色素をターゲットとしながらも、毛穴の引き締めも視野に入れてレーザーを構成しています。
大江橋クリニックでは、途中で波長やパルス幅、スポットサイズを何度も切り替えながら、お肌デトックスコースで約1000〜1500ショット、レーザーリミックス治療やOebashi Magicではそれを遥かに超えたショット数を用います。
主に使用するハンドピースのレーザー光の直径が7〜12mmであることを考えると、照射面積はフルフェイスの面積の数倍に及ぶことをご理解いただけるでしょう。
美容に使われるレーザーは多種多様ですが、治療の基本はメラニン色素を減らし拡張した毛細血管を細くし、基質のコラーゲンやエラスチンのネットワークを作り直すことだと思います。ムラの無いキメの整った肌の色を「肌色」と言いますが、レーザーリミックスは重ねることで自然な肌色を生み出します。
肌のどの深さにどの程度のエネルギーをどのくらいの時間で作用させるか。治療に重要な要素はこれに尽きるといっても良いと思います。破壊するのか変性させるのか刺激するのか、赤血球・コラーゲン・メラニン・水のどれに光を吸収させるのか。適切な条件を設定できるのであれば、機種の違いはあまり治療効果の違いに結びつきません。結局は照射する人の腕にかかってきます。
日本人の好む肌色
日本製のクレパスやクレヨンに必ずあって、海外のにはない色は?
それは「はだいろ」。
「はだいろ」が日本に広まったのは、20世紀に入ってから、おそらく西洋のファンデーション、西洋式白粉が日本に上陸してからではないかとされています。
いわゆる「白塗り」ではなく、西洋式に、肌に近い色の粉を顔に塗る化粧が日本に導入されるようになって、始めて日本人は「はだいろ」という色に気づいたようです。
しかし、100年前の「はだいろ」は、現代の日本人には少しくすんで日焼けした色のようにも見えます。
現代の日本人が好むきれいな「はだいろ」は、日本人の本当の肌の平均値よりも、黄味が少なく少し白が勝った色です。
海外メーカーの発売するファンデーションで、日本人が塗るとちょっと白浮きすると思われる色(上の「フレッシュ」という色)が、今のご婦人には好まれるようです。
※ 社会の流れに従い、「はだいろ」は人種差別的表現と取られるようになってしまい、現在では「うすだいだい」と表記されるようになりましたが、人物を描くのに必要な色として、日本製のクレヨンやクレパスには今も残っています。
マンガの肌の色
初心者向けに出版されている漫画入門には、きれいな「はだいろ」を表現するにはオレンジ色のカラーインクを薄めて塗ると良いと書かれています。
絵の具の「はだいろ」をそのまま白い原稿用紙に塗って印刷すると濁ったような色になってしまい、主人公の透明感のあるきれいな「はだいろ」にならないせいだと思われます。
日本人の理想とする美肌は透明感のある少し黄色み、赤みを帯びた白(おおよそ色相30° 彩度20% 明度100%)なのです。