大江橋クリニックでは、事情に関わらず保険証のない方は自費で診察しています。自費診療をお望みでない方は一旦予約をキャンセルして下さい。
保険証は健康保険で医療を受けるための資格証明書です。クレジットカードや定期券と同じといえば、その時に持っていなければ資格がないということがおわかりいただけるでしょうか。
【参考】 → 保険医療機関及び保険医療養担当規則第三条 (受給資格の確認)
保険医療機関は、患者から療養の給付を受けることを求められた場合には、その者の提出する被保険者証によつて療養の給付を受ける資格があることを確めなければならない。ただし、緊急やむを得ない事由によつて被保険者証を提出することができない患者であつて、療養の給付を受ける資格が明らかなものについては、この限りでない。
以前は、その月の初めに1回窓口に提出すればその月の間は有効、としている慣例があり、現在でもそうした慣例が通用しているところもあるようです。
それは以前は、原則的に保険証が家族に1枚だけ、というのが普通で、しかも「継続して治療を受けている間は保険証をその医療機関に預けておく」という規則が(現在も!)あるためです。(以下を参照)
【参考】 → 保険医療機関及び保険医療養担当規則第四条(被保険者証の返還)
保険医療機関は、当該患者に対する療養の給付を担当しなくなつたとき、その他正当な理由により当該患者から被保険者証の返還を求められたときは、これを遅滞なく当該患者に返還しなければならない。ただし、当該患者が死亡した場合は、健康保険法 (大正十一年法律第七十号。以下「法」という。)第百条 、第百五条又は第百十三条の規定により埋葬料、埋葬費又は家族埋葬料を受けるべき者に返還しなければならない。
何故こんな規則があるのかと言えば、もちろんそれは、ある医療機関で治療中に別の医療機関を受診する事を禁止するためです。(重複受診の禁止)
通院中(入院中)に別の医療機関を受診することは原則禁止です。ご存じでしたか?
ですから、ある病気を治療中に他の医療機関でなければ治療できない他の病気にかかった時には、原則としては、保険証は通院中の医療機関に預けてあるので手元にはなく、他の医療機関を受診するには今通院中のお医者さんのところに行って了解を得、そこに預けてある保険証を一旦返してもらわなければならないのです。
医療機関が専門分化して病気ごとに違う医療機関を受診することが当たり前になった現在、これは時代に合わないので、医療機関では保険証を一旦確認するだけで返却し預からなくなりました。(保険証を悪用したり、保険証でお金が借りられたりすることもあって、保管責任を問われないためでもあります。)
保険証もカード型が主流になり、患者さんが常に携帯しておけるようになり「緊急やむを得ない事由」とは事故や災害の時くらいになりました。社会が流動的になり、月の途中で転職することも普通になって「資格が明らか」でも無くなりました。ですから拡大解釈して運用する必要がなくなったのです。
◀︎ これは以前の政府管掌保険の保険証見本です。保険証裏面には注意事項が書かれています。
そこで医師会からも通達があり、すべての医療機関において、診療の都度保険証の提出を確認する事が義務づけられるようになりました。
なお、保険証を提出しなくても自費診療は受けられますが、それを後から保険診療に切り替えることは通常できません。
一部の医療機関では患者さんの便宜のために、月末までに保険証が確認できた場合に限り、差額を計算してお返しすることがあるようです。(大江橋クリニックでは行なっていません。)
現在のところ保険診療の治療費は毎月末に集計して請求書を作成する慣行(レセプト業務)があり、月末までは「医療機関の判断で」請求先を後から変更できるためです。
しかし医療情報のオンライン化の流れにより、今までは診療報酬請求書に記載が義務付けられていなかった「保険証の確認日」「治療や投薬を行なった日」が明確にコンピューター上で記録されるようになりました。おそらく今後は請求書の発行も月末締めではなく完全な当日精算の方向に進むと思われます。その場合、こうした慣行は許されなくなるでしょう。
※ 退職や転居などにより保険証が無効になった場合、保険者(保険証の発行元)は直ちにその保険証を回収しなければなりません。患者さん(=被保険者)の立場から言えば、直ちに返却しなければならず、たとえ返却しなくても保険証は資格喪失の日から無効になります。返却せずに患者さんが無効な保険証をそれと知って使用した場合は、医療費の詐取にあたり詐欺罪に問われます。また民事上も保険者から損害賠償請求される場合があります。
※ 保険証の切り替えなどで手元にない場合は、発行元から資格証明書を発行してもらってください。
オンライン資格確認制度がスタートし、使えなくなった保険証(旧証)を提示した場合、支払基金のオンライン資格確認用サーバーからエラーが返されることになり、保険診療ができないことをお伝えできるようになりました。ただし、退職の際の手続きの遅れや、付属する公費助成にサーバーがすぐに対応できないなどの事情で、資格誤りのまま診療してしまうことがあります。
制度上は請求が新しい保険者に振り替えられるはずですが、後日精算が必要になることもありますのでご注意ください。