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苺状血管腫:レーザーと手術の総合治療
〜 Therapy for Infantile Hemangioma 〜

左:苺状血管腫が不完全に引いて、凸凹が目立ちこぶの様に見える
右:各種レーザーと手術を組み合わせ皮膚の質感や凹凸も改善した

症例:他院での治療終了後約1年かけて治療

初診:額の苺状血管腫が不完全に引いてこぶのように残ってしまった。色はファンデーションで隠せても凸凹は目立ってしまう。

斜めから見ると膨らみはよりはっきりする。化粧を落とすと、子どもの頃部分的に切り取った傷もあることがわかる。

まず血管腫を引かせる目的でダイレーザー(シナジーのPDL)を通常の強さで照射。1週間後では目立った変化はないがややボリュームが減少してきた。

1ヶ月以上たつとボリュームが著明に減少してきた。皮膚に皺がよって境目がかえって目立ってきた。

アファームで皮膚を引き締めてからさらにシナジーをマルチプレックスモードで照射。血管腫はほぼ消失し皮膚の状態も良くなってきたが、たるみと傷痕はレーザーではやや力不足の感がある。

ここで手術を追加

傷痕の切除も兼ねて、生え際でたるんだ皮膚を一部切除。傷はまだテーピングが必要だが、凸凹はかなり改善した。

テーピング終了。赤みがあるが皮膚が平らになり、化粧すれば隠せるレベルになった。

さらにダイレーザーを照射。赤みは照射ごとに徐々に引いていく。治療も終わりに近づいてきた。

初診:再掲
上の写真と比較すると、化粧で赤みを消しているが凹凸が目立つことがわかる。

このように、ダイレーザー、YAGレーザー、アファーム、手術などを適宜組み合わせて治療することによって、赤みだけでなく皮膚の質感や凹凸も改善することができた。

治療期間は約1年半、レーザー照射はのべ6回(各回2万円程度)、血管腫の切除術は健康保険でおこない、治療総額は20万円以内で収まった。

血管腫の治療

※ 血管腫の治療には、通常赤血球の酸化ヘモグロビンによく吸収される波長である色素(ダイ)レーザーを使用します。
血管の中の赤血球を破壊して、その熱で血管そのものを壊していく治療ですので、紫斑(皮膚の浅い部分での内出血)が起こります。
従来の機種(第1世代)では紫斑は必発でしたが、冷却しながらロングパルスで加熱することにより紫斑が起こりにくい照射法が開発されました(第2世代)。
更に、ダイレーザーで変成したヘモグロビン(メトヘモグロビン)を更に別の波長で加熱するマルチ照射(第3世代)が実用化されています。
現在、第2世代(Vビームなど)までは健康保険が適用されていますが、大江橋クリニックで採用しているシナジーマルチプレックスは第3世代に属し、もともと保険適応がありません。(このレーザーはすでに製造が終了し、後継機種はありませんので、マルチ照射法の可能な医療施設はもう時期なくなると思います)
健康保険を利用して治療するには厚生労働省の承認を受けた機械を用いなければなりません。したがって、大江橋クリニックのレーザーは承認機器であるシナジー Jの上位互換バージョンですが、大江橋クリニックでは保険治療ができません。保険治療をご希望の方は、レーザー医学会の認定する優良な治療施設をご紹介します。

色素(ダイ)レーザー

その他の血管性病変や赤ら顔、薄いシミなどにもダイレーザーは効果的です。

毛孔性タイセンなど腕や頬の毛穴が赤く盛り上がる状態にも、ダイレーザーが効果的です。

症状に応じて他のレーザーと組み合わせることで、より高い治療効果を上げることができます。

照射に際してはレーザーエネルギーで血管が加熱されるため、適切に冷却しないと強い痛みを感じます。専用の冷却機による冷風で皮膚を冷やしながら照射します。ジェル等は一切使いません。血管腫の治療では紫斑は必発です。紫斑が生じないように出力を下げるなどして治療する方法もありますが、そうした方法では効果が落ちる事が多くお勧めしません。紫斑は通常約2週間で消失しますが、体質によっては1ヶ月近く残る事があります。過剰なエネルギーによる皮膚損傷を避けるため通常は治療の際に一部でテスト照射を行います。可視光線を含むため遮光のゴーグルを必ず装着します。瞼に直接照射することは危険なので、必要な際には点眼麻酔をおこなって目の中に遮光用のプラスティックコンタクトを入れます。小児などの全身麻酔による治療は行っていません。また、貼る麻酔や塗る麻酔は血管を拡張させ治療範囲が曖昧になるので使用しません。同様の理由で局所麻酔注射も通常は行いません。
通常は照射部位に創傷被覆剤を貼り付け1週間おきますが、反応が軽度な場合そのまま化粧水をつけたりメイクする事ができ流こともあります。光線アレルギーなどのトラブルは滅多に起こりませんが、毛穴の内部の毛が焼けるため、体質によっては毛嚢炎(ニキビのようなもの)が多発する事があります。その際は皮膚科で適切に治療します。