【 完全予約制 】予約の取り方 ▶︎

保険で治療できますか?
〜 Can I have Insured Medical Treatment ? 〜

【重要:初診は自費診療でお願いしています】

大江橋クリニックは診療の対象を得意分野である瞼と耳の形成手術・美容レーザー治療に絞り、自費診療中心の体制に移行しました。
保険診療については美容で通院されている患者さんのご相談に限りお受けします。

上記以外の一般的な診療分野、例えばけが・やけど・できもの・ワキガ相談・巻き爪などの形成外科診療、かぶれ・皮膚炎・水虫・イボなどの皮膚科診療、花粉症・ぜんそく・じんましんなどのアレルギー科診療については、通院中の方のみとし新たな初診予約は現在原則的にお受けしていません。

※  基本的な考え方は、以下のリンク先をご覧ください

見た目の改善は保険適用できません ▶︎

〇〇の治療を保険でできますか、というお問い合わせを大変多くいただきます。日本の保険診療は治療費が諸外国に比べて大変安く抑えられており、保険証があればさらにその1〜3割を負担するだけで、後の7割は直接支払わなくて良いのですから、安く治療したいと考えている方にとっては魅力的な制度です。

しかし大江橋クリニックが主に行なっている美容的な分野の治療は通常健康保険の適応になりません。
保険医療は互助的な仕組みに基づいた最低限度の「社会保障」です。命に関わる深刻な病気の場合などの場合、非常に高額な治療に健康保険が適用できるかどうかは重要ですが、保険の目的は病気などによって損なわれた健康を、再び働いて社会貢献ができる程度に、あるいは社会に大きな負担をかけない程度に回復させようというものです。

日本では「国民皆保険」と言って国民のすべてがいずれかの健康保険組合に加入し、保険料を支払う義務を負っています。保険料は従業員を雇っている会社も負担しており、集められた保険料で足りない分は国からの繰入れ等も加えて、プールされ、保険診療を行なう医療機関や薬局等の請求に応じて支払われます。それは社会の負担を軽減するために用いられるべきで、個人の健康増進や美的改善の目的で用いる財源ではありません。

保険適応のない治療に健康保険を用いることは、本来の目的を逸脱した窃取にあたり、日本の保険制度を危うくするものです。保険医療は本当にそれを必要とする人に使ってもらい、自分の美と健康を守る医療は自分でその費用を負担しましょう。

「瘢痕拘縮形成術」の対象にならない傷跡

けがや手術の傷痕が「運動制限を伴う」高度なものであれば「瘢痕拘縮形成術」の対象となり、健康保険で治療が受けられることがあります。しかし傷痕が大きく醜いものであったり、長期間消えずに残り、もっときれいに治したい場合でも、運動制限を伴わない場合、傷跡治しの手術は通常自費になります。

拘縮とは傷が引き攣れているという意味で、引き攣れを伸ばす事で「運動制限を解除する」すなわち関節などを動きやすくする場合に限って保険が使えることになります。
ですから顔面の「瘢痕拘縮形成術」は瞼や口などのように動く部位に限って認められ、額や鼻などのように本来動かない場所は、いくら傷跡が目立ったとしても運動制限がなく認められません。その他(顔面以外)の場合も同様に、通常は関節部分が拘縮している場合に限られ、その他の部位(腕や脚、背中など)では認められないのです。

耳の変形を整える手術

外傷などの結果軟骨が著しく変形した場合などは保険適用されても良いと(個人的には)思いますが、診療報酬の注には示されていません。
柔道耳など激しいスポーツの結果生じた場合には自己責任の範疇であるともいえます。
ピアスの穴が裂けた場合も、原因がピアスを付けた事により生じているので自己責任です。
ピアス部に生じたケロイドや腫瘍は、ピアスが原因かもしれませんができものですので切除は保険でできるようです。
しかし切り取ったあと大きな変形が残っても「耳介形成手術」の対象にはなりません。

立ち耳は先天的な形態異常ですが、社会的文化的に許容されているので「病気」とは見なされません。
しかし埋没耳は奇形と見なされ「耳輪埋没症」という病名で耳介形成手術が受けられます。

耳が生まれつき欠損しているか非常に小さい小耳症は「小耳症手術」の保険適用が明記されています。
耳の大きさが何センチならば、変形の程度がどれくらいならば小耳症と呼べるかは決まりがありません。

瞼がたるんでいるが「眼瞼下垂症」ではない場合

加齢とともに瞼の皮膚は徐々に伸び、たるんで睫毛の上に被さるようになってきます。
これは眼瞼下垂でしょうか。眼瞼下垂症は、眼瞼挙筋の働きが低下して起こるものをさすのが本来です。
加齢による皮膚の延長の場合は筋肉の働きは損なわれていません。皮膚切除は美容手術として行います。

眼瞼挙筋腱膜が瞼板から離れて上方に変移していることが明らかな場合「腱膜性」眼瞼下垂症として保険で扱うのは許されるでしょう。

眼瞼下垂症手術は、挙筋前転法または吊上げ法で行なうのが普通ですが、「その他の術式」という項目もあるため、皮膚切除などが許されないわけではありません。
しかし眼瞼挙筋の働きが正常な場合は、そもそも眼瞼下垂症ではないので「老人性皮膚弛緩症」などと名付けて自費でシワとり手術を行なうのが一般的です。

また糸で行なう埋没法のようなタッキングや皮膚切除のみの場合は「前転法」を適用する事は難しいと思います。
挙筋前転法には皮膚切除は含まれないとして、皮膚切除は「自費」で別途請求する医療機関もありますが、本来これば「混合診療」にあたり認められないと思われます。
タルミ取り手術は「美容」ですから本来は全額自費になります。

二重の幅を何ミリと要求される方がいますが、これは美容の範疇となり保険適応の手術では要求に応じるべきではないでしょう。もちろん「自然に」「控えめに」程度のお話であれば整容的な努力はするべきですが。

エステで脱毛治療を受けてやけどした

いわゆるエステティックサロンなどの施術業者は、脱毛やしみとり、アートメイクなど人体に傷害を与える可能性のある行為を行なう事が禁じられています。違法行為の結果傷を負ったという事なので、加害者には傷害罪が適用されますし被害者には加害者に損害賠償請求する権利があります。
「第三者行為責任」という方法で保険診療を受ける事も不可能ではありませんが、この場合ご本人から保険者に賠償請求権が移り、後あと非常に困る事があります。(これを逆手に取って「すぐ保険で診てもらうように」言って被害者本人との賠償交渉を避けようとする場合もありますので、注意が必要です。)
明らかに事件性のある場合だけでなく、マッサージを受けたらクリームにかぶれた、などの場合も施術業者に行為責任があると考えられますので、保険診療の扱いをしない様にしています。本当にかぶれが原因かどうかの特定は難しいため、保険診療を行なうと誰が誰にいくら支払うべきかについてもめる場合があるためです。

健康保険制度・国民健康保険・社会(健康)保険 などについて

日本における健康保険制度は、一般的な意味での「保険」ではありません。

自分の意思とは関係なく、職業と収入に応じて支払うべき保険料が決定され(国民すべてに健康保険加入が義務づけられています=国民皆保険制度)、そのお金は現在病気にかかっている他人のために使われます。自分の将来のために前もって積み立てておくことはできません。掛け金に応じた保証があるわけでも、後日払い戻される貯蓄でもありません。
病気になったときに健康保険に加入していない人は、それまでにいくら多額の保険料を払い込んでいても、保険治療は受けられません。
自分が病気になったときにも医療は支給されますが、健康保険の適応は厚生労働省が決定した基準に従って全国一律に決められており、適応のないものに対しては支払われず、適応条件は細かい注によって規定されています。また保険料を多く支払った人に手厚い治療が行なわれることはありません。支払った額に応じてリターンが得られるという保険ではないのです。

診療内容は診療した医師が恣意的に決めるわけではなく、医師ができることは症状に適切な病名をつけ、病名に応じて定められた治療項目を選んで施行し、費用を請求書に記入することだけです。
少しでもよりよい治療を、と望んでも国が認めた「給付」の枠から外に出る事はできません。それは、健康を保つ上での「最低限度の」治療であり、決して満足のいくものではありません。

ではもっといい治療を受ける事はできないのでしょうか?
そんなことはありません。保険を使わなければ、誰でも好きな医療機関と自由に医療契約を結び、最先端の治療を好きなだけ受けることができます。
それが「自由診療」です。あなたが医療費を自分で全額負担することにすれば、煩わしい制限は一切なくなります。

保険医療は現物支給です

保険診療は「現物給付」という考え方で医療が行われています。
あなたの加入している健康保険組合があなたに保険証(保険医療の引換券)を発行し、あなたはそれを「保険医療機関(保険医療の代理店)に持って行って「治療を給付して」もらいます。
保険組合は(医療機関でないことに注意!)あなたに「治療法とそれに用いる薬など」をセットにして給付します。医療機関はその「代理店」に過ぎませんから、診断に基づいて「病名」を決定したら、病名に対応した治療しかすることができません。保険が利かない、とは、あなたの保険者があなたにその医療(医療「費」ではないことに注意)を支給しないという意味です。

あなたが窓口で支払っている医療費の「一部負担金3割」とは、保険者(保険組合)があなたから徴収している費用で、医療機関は保険者の代理店として、取り扱い手数料なしでかわりに収納し保険者に納めます。一方、保険者から医療機関へ支払われる「診療報酬」とは、医療機関が保険者に代わって患者さんに「医療を現物給付」したことに対する原価および手数料です。実際には、これらを相殺して、保険者から医療機関へは、「一部負担金3割」を差し引いた、診療報酬の7割分が審査を経て2ヶ月後に支払われます。

すなわち、本来ならば(現在窓口で支払っている自己負担金が、本来の徴収者である保険者に直接支払われるならば)、保険者(保険組合)は保険料でまかないきれない医療費をあなた(患者さん)から徴収して、医療機関に患者さんを(無料で)治療させ、その経費を医療機関に支払う、という流れになります。患者さんは医療機関には治療をしてもらうだけで、支払は患者さんの属する保険組合にしているのです。

健康保険の原則

健康保険の原則は、全国どこでも同じ値段で同じ治療が受けられる事です。
ですから保険診療には一部の施設でしか行えない「最先端の治療」や「特殊な治療」は含めてはいけない事になっています。また保険診療では医師の技量による値段の差は認められません。良くいわれる事ですが研修医でも教授でも手術料は同じなのです。

ここから出てくる解釈として、「どこの医療機関にかかっても保険診療である限り治療結果は同じであるべき」と考えられるので、保険診療ではたとえば遠方の名医をわざわざ受診する「必要は認められず」、他の医療機関よりも(薬の種類が多い、受診回数が多いなど)高額のお金がかかる治療をすることは「濃厚診療」として禁止されます。
言い換えるならば、他人よりよい治療を受けたい、という願望は「保険診療では許されない」のです。

以下に、患者さんが知っておくべき保険診療の原則をいくつか示します。

  • ※ 保険証の提示がなければ、保険診療を行なってはならない
    (後日お持ちになった場合の払い戻しは医療機関独自のサービスです)
  • ※ 同じ病気に対して、保険と保険外の治療を併用してはならない(混合診療の禁止:特例あり)
    (保険外を併用する場合は原則的に全額自費になります)
  • ※ 同じ病気に対して、同時に2カ所の保険医療機関を受診してはならない
    (どちらか1カ所の診療費は自費になることがあります)
    ※ セカンドオピニオンは原則的に自費となります
  • ※ 病名に対して認められた薬だけしか処方してはならない。特殊な治療法は行なってはならない。
  • ※ 直接診察をしないで薬を処方したり診断書を書いたりしてはならない
    (窓口でお薬のみを受け取ることは法律違反です)

最近特に、医療費削減の名目で保険診療に制限が多くなってきました。
使える薬の種類や処方期間の制限だけでなく、医師が必要と考えて行なった検査・処置なども、不必要であるとして保険者(支払い側)から支払いを拒否される事もあります。支払いを拒否された場合、それは医療機関の損失となるだけでなく、支払い側にとっては「医療機関の不正請求」と見なされ、今後の保険診療に支障を来します。

例えば、同じ病気について同時期に2つ以上の医療機関を受診した場合、その一方に対してしか医療費が支払われない場合があります。
この場合、あらかじめ転医のための紹介状等をお持ちいただかないと、保険証があっても保険診療が行なえません。「一度しかかかっていない」とおっしゃる方がいますが、その場合「前医での治療は継続中であり終了していない」と見なされます。

セカンドオピニオンは自費です

ご存じない方もありますが、セカンドオピニオン(別の医者の意見を聞く場合)は前医からの紹介状(治療データを含む)を御持ちいただいた場合でも原則として自費になります。2カ所で診察を受ける場合、2カ所目は自費、とご理解下さい。

同じ薬を、適切な検査をせずに数ヶ月以上にわたり延々と処方することは非常に難しくなりました。
再発予防は「保険治療」の目的ではないため、投薬は短期にとどめ、治癒しないのならば治療法を変更するか中止すべきだと、保険者(支払側)は考えます。再発した場合は治療再開できますが、治らないもの(傷痕や色素沈着などの病気の後遺症ともいえるもの)は原則的に保険では治療できません。

また、実際に行った治療の内容や費用についても、保険者側が後日、適応外として変更・減額してくる可能性があります。
例えば、同時に2つ以上の手術を行なった場合、その一つに対してしか費用が支払われない場合や、同一の治療を繰り返したときに2回目以降の保険適用が認められない場合など、特に理由が明記されていない(その他の事由、などと記載されている)のに保険適用が認められない場合が多々あります。
こうした場合、保険適応を取り下げ、健康保険から自費診療への変更をお願いすることもあり得ますので、ご協力をお願いいたします。

診療報酬はマスコミで喧伝しているように全額が医師の収入ではありません。(日本経済新聞などが、診療報酬イコール医師の給料、であるかのような記事を載せることがあります。明らかに悪意ある嘘です。)診療報酬のほとんどは薬代や材料費として医療関連の会社への支払いに充てられ、医療機関の実際の収益は支払われた医療費の数%にすぎません。
従って、保険者側の支払い拒否は、たとえ少数であっても医療機関の存続を危うくするものです。保険診療には様々な制約があり、その制約の中で患者さんの利益が最大になるように、各医療機関は努力を続けています。

< 編集中 >

耳介手術の保険適用条件

健康保険の適用条件として医療機関が参考にするのは、原則2年に一度改訂される診療報酬点数表です。例えば手術:耳介形成術の欄には注(厚生労働省通知:実施上の留意事項について)がついていて、耳介形成術は「耳輪埋没症、耳垂裂等」に対して行なった場合に算定する、と書いてあります。その他の耳介の変形については何も規定がなく、普通に読めば上記疾患とその類似症例以外は保険適応はありません。
スタール耳、折れ耳など、耳輪埋没症以外の先天的な様々な変形、柔道耳などの外傷性・後天性の変形、耳介腫瘍摘出後の再建など耳介には様々な手術が可能ですが、保険が算定できるかはすべて「等」をどのように解釈するかにかかっています。

以前は出来る限り患者さんの負担が少なくなることを第一に考え、「等」を出来るだけ拡大解釈することにしていました。つまり、上記以外の明示されていない病名には詳細な症状と手術記録を「症状詳記(治療の必要性や経過)」としてレセプト(診療報酬請求明細書)に書き込み、なるべく保険請求が認められるように努力してきましたし、実際に支払われた例は少ないながらありました。
しかし近年は保険適用が非常に厳しく制限されるようになり、特に当クリニックで積極的に行っているような複雑な耳介形成術の場合、同時に行う軟骨移植術や皮弁作成・移動術などの追加的な併施手術はほぼ否認(返戻)されるようになりました。査定理由に反論した再審査請求をしても承認されないことが多く、場合によっては問答無用で支払い拒否されるようになりました。
結果に繋がらないそうした不毛なやり取りを何度も続けると、審査機関の当クリニックに対する印象がますます悪くなり、他の治療の審査も厳しく査定されることにつながります。そうなると実際に行った手術の費用を支払ってもらえないだけではなく、他の患者さんにも不利益が生じます。そうした理由で今後これらは全て自費診療とすることにしました。

耳介の保険手術は、マスクやメガネがかけられるようにするためのもの

「耳輪埋没症、耳垂裂等」に保険が適用されるのに、その他の疾患が健康保険の適応とは見なされないのは、「耳の変形」が社会生活上著しく不都合とまでは言えない、自己責任である、「耳の機能」と密接な関係にないなど、「耳の形」の修復が「美容的な問題」と見なされるためだと思われます。
機能的な意味での「耳介形成」とは、メガネやマスクをかけられるようにするため、あるいは耳の聞こえをよくする(例えばイヤホンや補聴器が入るようになる)ために行うものと考えると、保険適応の有無が理解しやすいのではないでしょうか。

※ 耳の聞こえ方(聴力)や耳の穴の内部の問題は、耳鼻科の領域であり大江橋クリニックでは一部の外耳道形成手術を除き扱いません。

※ 過去にイヤホンが入りにくい、という訴えで柔道耳に対し耳甲介形成を行ったケースがありますが、これも適応はグレーゾーンです。確かに形態の異常が耳の機能を損なっているため健康保険を適応すべき症状とは思うのですが、明確な規定はないのでケースバイケースと思われます。

耳垂裂とは、通常耳垂(耳たぶ)が丸い形に整わず、2つに避けたように見えるものを言います。正常側に比べて耳たぶ自体も一部が欠損したように小さいものが多いようです。日本形成外科学会の定義によれば「生まれつき耳垂が割れている状態の耳介先天異常の一種」とあり、ピアスによる耳切れなど外傷性の後天的なものは含まれません。
※ 厚生労働省の関連機関である近畿厚生局にも問い合わせた結果、ピアスによる耳切れは適応外である旨の回答をいただいており保険適用はできません。事故や暴力等による場合は別の理由(別に加害者がいる場合は健康保険の対象にならない)で保険適応となりません。したがってピアスの耳切れ等は自費とさせていただきます。

腫瘍摘出などにより耳介が欠損する場合も同時再建(腫瘍摘出と同時に耳介を作る場合など)には保険が適用できません。これは同一術野に対して2以上の手術を同時に行う場合、定められた例外を除き、どちらか一方の手術の保険適応が認められないためです。腫瘍を摘出することに限っては保険が適用されますが、変形した耳介を修復する手術は保険外となるのです。

他院で保険診療しているとの指摘について

当院で立ち耳が保険適用できないわけ

「立ち耳の手術を保険でやっているか」はお問い合わせが多いご相談ですが、立ち耳には保険を適用することができません。

厚生労働省の関連機関である近畿厚生局や健康保険審査機関に問い合わせて確認し、立ち耳の手術に健康保険を適用する事はできないとの返事をいただいております。

他の医療施設で保険で行っているとの情報は多々耳にします。中には耳の角度によるなどと記載しているところもあります。しかし立ち耳(聳立耳)は耳介形成手術の対象にはなっていませんから、耳輪埋没症などの病名を便宜的につけて、いわゆる保険病名(保険を適応するための偽の病名)による保険適応としている施設もあるものと思われます。また地域によって審査基準が違うこともあり得ますし、審査する医師のチェック漏れ等で見逃されているのかもしれません。
別病名をつけて治療した場合、医師の好意とはいえ「診療報酬の付け替え請求(本来保険請求できない処置を、別の病名や手術名に付け替えて請求する)」という違法行為となり、悪質と判断されれば保険医取り消しなどの処罰もある行為となります。

立ち耳はなぜ保険適応にならないのか

日本を含むアジア諸国では、文化的社会的に耳の形に関しては許容度が高く、立ち耳に関しても、特に子供の頃には「ミッキーマウスのよう」「おさるさんのよう」などと、むしろ「かわいらしい」「愛らしい」ものとして愛される傾向があります。

最近でこそヨーロッパ的な習慣が広まり、またピアスを着用する際に美しく見えないなどの理由から手術を希望する方が増えましたが、一般に社会生活上著しい不都合があるとは考えられないのです。埋没耳のようにメガネやマスクがかけにくいと言ったこともなく、通常は機能的な問題は少ないと思われます。
ただし、特殊なヘッドセットを業務上必ず使用しなければならず、常時耳介が圧迫される為耳輪に潰瘍を生じた患者さんが来られたことがあり、この方の場合は機能的な問題を解決するために健康保険で手術を行いましたが症状詳記により否認されませんでした。

耳の役割(機能と美的要素)

耳は聴覚を司る感覚器としての役割のほか、幾つかの重要な機能を持っています。『聞こえ」に関する異常や病気は主に耳鼻科が扱います。しかし、頭の外に突き出した部分(外耳)は特殊な軟骨(弾性軟骨)を皮膚で包み込んだ複雑な形をしており、主に皮膚科、形成外科、美容外科が扱います。

形成外科、皮膚科が担当する疾患で健康保険の適応となるのは、皮膚や軟骨の病気、形の異常のうち、患者さんの健康や耳の機能を損なっていると思われる場合です。
したがって皮膚炎やできものは、ほとんどの場合保険治療の対象となります。ケガに関しては、事故や他者による傷害、自傷は保険の対象になりません(ですから柔道耳、転倒による外傷、ピアスによる耳切れなどは状況により判断が分かれます。)
先天的な形の異常のうち、健康保険で耳介形成術の対象となるのは、原則的には小耳症、耳輪埋没症、耳垂裂のみですが、これらはメガネ・マスクの着用に支障があるためと考えられ、見た目の醜状とは全く無関係です。

袋耳(コップ耳、折れ耳、埋没耳など、形によって様々な呼び方がある)、スタール耳などの形の異常も場合により保険適応が認められることもありますが、外見が異常であるかどうかよりも機能障害の程度によって適応が限られると考えられます。

このほか、耳たぶや外耳(耳介)そのものの形を変え、大きくしたり逆に小さくしたり、丸みをもたせたり角度の微調整をしたりと様々な手術治療が可能ですが、概ね美容外科が担当する自費診療となります。
耳のあざ(多くは血管腫や母斑など)もレーザーなどで治療可能ですが、レーザー治療の多くは保険適応がありません。耳のレーザー脱毛やピアスの穴あけなども保険診療の適応外です。

美容診療と健康保険の考え方(美容皮膚科編)

● 美容の自費初診料は 5,500円 再診料は 2,200円(いずれも消費税込み)

お悩みが「もっぱら美容的な事」であるのか保険適応があるかは医師の判断に関わる事項であり、 事前に保険が使えるかどうかのお約束ができかねる事がありますのでご留意ください。

基本的には、通常は自費診療となるが、場合によって保険が使える事もある、とご理解ください。

いわゆる医療保険(生命保険等に付随するものを含む) について

生命保険会社などが加入を勧める「医療保険」は、将来自分の身に降り掛かるかもしれない万一の事態に備えて、あらかじめ少額の費用を保険会社に支払い、一旦事故に見舞われた際には、払込んだ額に応じて救済が受けられるという仕組みです。
1億円の保険金を受けとるには、それなりの保険料を支払い続けなければなりません。
また、掛け捨ての保険を除いては貯蓄の性格も持ち、一定期間後に配当金を受け取る事もできます。

一般的に、美容治療の費用に関しては医療保険の対象にはならないと思われます。
手術などに関しても健康保険で定められた診療報酬(値段)に準拠したものであることが必要なようです。
具体的な適用条件は保険会社が定めています。

参考までに、いわゆる生命保険は「事故によるケガ、死亡」に対して支払われるもので、病気や病気による死亡には対応しないこともあります。病気で保険金支払を受けるには、「病気でも支払われる」特約を結んでおく必要があります。

美容診療は自由診療です

従って、美容診療(=病気の治療ではなく、健康や若さ、美しさを保つための医療)は「自由診療」ということになります。

「自由」とは、その内容も、かかる費用も、患者さんとクリニックとの契約によって自由に決めてよい、という意味です。患者さんは、その費用を負担する意思さえあれば「医療の内容や質を選択する自由がある」といってもよいかもしれません。

しかし、一方で「診療」である以上医学的に根拠のない方法や、社会通念上認められないような医療(例えば、健康や命を損なうことを目的とした医療)は行ってはならないでしょう。

私たちは、美容診療は「未病」を健康に近づける予防医学ととらえ、リーズナブルな料金でより健康で美しく過ごすための手段を、医学的な検証を行なった上で、適切に提供していきたいと思っています。